さよならテリー・ザ・キッド

おとなをからかっちゃいけないよ

ももいろクローバーとアイドル戦国時代

という記事の「これまでアイドル興味なかった人が人生狂った感」が良かったので自分もももクロのことを書きます。
ちなみに「最近売れかけてるももクロっていうのが気になってるけど何から見ればいいか分からない」という人は、上のやつ以外だと、

という記事もおすすめ。

そんなわけで初心者向けまとめはもう既に書かれているので、僕は「プロレス・格闘技ファンの自分がももクロに興味を持ったきっかけ」という話をします。あくまで「プロレスファンはこういう入り口もあるよ」っていう程度で、「プロレスファンじゃないとももクロは楽しめないよ」って意味ではないですからね。


上で紹介したまとめ記事で画像や動画を見てもらった人は、彼女たちに対して「可愛い」とか「キャラが立ってる」とか、「ダンスが奇妙なうえに運動量が過剰」などの印象を抱いたと思いますし、そこももちろん魅力だとは思うんですが、僕が彼女たちに興味を持ち始めたのは『真夜中のハーリー&レイス』というラジオ日本の番組で「アイドル戦国時代」についての話を聞いたことがきっかけでした。
『ハーリー&レイス』はプロレス&格闘技実況をやっている清野アナがパーソナリティで、プロレスラーやサブカル文化人をゲストに、主にプロレスの話をする超楽しい番組です。(ちなみに今週のゲストが「東京都北区赤羽清野とおる先生、来週が「アメトーク」などでおなじみの加地倫三プロデューサー(テレビ朝日)なので単なるプロレス番組じゃないことがわかってもらえるはず)

で、その『ハーリー&レイス』で、ちょうど1年前、昨年8月31日の回ゲストが吉田豪さんだったんですよ。そこで「プロレス的なものの見方」という話題から「最近のアイドルシーンは戦国時代で大変なことになってる」「その中でももいろクローバーっていうグループがやばい」っていうのを大変分かりやすく話してくれてて、僕はそれを聞いて「これは面白そう」って思って色々調べるようになったので、その吉田さんのトークを一部書き起こしてみたいと思います。

清野「最近だと『プロレスと一番ダブる』っていうのはなんですかね?」
吉田「ちょうど昨日、SKEvsももいろクローバーvsスマイレージっていう戦い(アイドルユニットサマーフェスティバル2010)を見て。ガチでしたねー。
ずっとSKE推してた人間はガッツリ凹んでて、『高田vsヒクソン以来のショックですよ……こんなショックな事はない』みたいな。僕ら客観的に見てる側は大喜びしてて『いやー今日のガチ楽しかった』って」

吉田「SKEっていうのは完全に戦闘集団してアピールされてるわけですよ、BUBKAとかで。全てを敵と認識して、敵に勝つために鍛えられてきたヤツらとしてやってたんですけど、それがももクロに完敗したんですよ。
ももクロってのは、『怪盗少女』の動画を見てほしいんですけど、女子プロとか見てる人も完全にハマると思いますよ。身体能力というか、過剰な動きだけでもすごいんですけど、それが(SKEを)食いに来たりとか、スマイレージっていうハロプロの王道が、完全な王道の強さを見せつけたんですよ。東京ドームに初めて全日本が来た時と同じぐらいの、三沢(光晴)と小川(直也)が絡んだ時の三沢の凄さみたいな。『すげー、全然ガチでもやれる、この人たち!』みたいなものを見せつけたんですよ。ポテンシャルが圧倒的に違うっていう。
SKEってのはAKBの戦闘集団バージョンなんですけど、それに圧勝できるだけのポテンシャルを(ももクロが)持ってるんですよ」

吉田「『俺たちが応援してたのは高田延彦だったのかもしれない』ってSKE側が言い出して。ずっと『Uインター最強』って言ってたけどそれが崩れたみたいな」

まずここら辺までがラジオ本編での内容でした。僕はアイドル界の現状には詳しくなかったんですが、

  • 複数のアイドルが出るイベントがあって、その中でどうやら「ももクロ」っていう運動能力が凄い子達が目立ってたらしいこと。
  • 大手であるハロプロスマイレージも、王道パフォーマンスを見せつけたらしいこと。
  • “戦闘集団”として売っていたSKEは、ファンが凹むぐらいに差をつけられたらしいこと。

が分かりました。今は複数のアイドルが見比べられて、それぞれのファンもそれを戦いに見立ててるんだな、アイドル界っていまこんなことになってるのか!ってことが分かって、すげー面白かったです。
続いてポッドキャストではそこら辺をさらに掘り下げてました。

吉田「今回のももクロvsSKEvsスマイレージの話をまだしますけどね、何が面白いかっていうと、ももいろクローバースマイレージって、マネージャーがプロレスオタなんですよ。だからプロレス心があって、こういうような4つのグループが出るところは戦いだって概念があるわけですよ。交流戦じゃなくて対抗戦だっていう概念で望んでるわけですよ。潰し合いだ、的な」
清野「なるほど、『光を消せ』みたいな」
吉田「ところがSKEはそれを分かってなかったんですよね。交流の場で、シングル曲をアピールしようみたいな、それだけで来ちゃってて、AKBのカバーとかしてアピールしようとか……違うんですよ。潰し合いで来てるほうが勝っちゃうんですよ」
清野「ああー」

吉田「面白いことになってる。かつてハロプロが実力測定の場に出る事ってなかったわけですよ。『うちは別格なんで鎖国して、メジャーなんで交流しませんよ』でやってきたのが、当然向こうもそうは言ってられない状態になってきて、AKBがこんだけデカくなってきて絡まざるを得ない状況になり始めた今が一番面白いんですよ。対抗戦黎明期みたいな。
昨日のももクロFMWに乗り込んだブル中野的っていうか、『私たちのライブ見たいんだったらこっち来いや』的な爪痕がガッツリ残ったんですよ」
清野「すごい歴史的な日だったんですね、昨日は」

吉田「良かったですよ。だから最近交流戦が始まってるんですよね。交流戦にメジャーが混ざり始めてるのが今の段階なんですよ。24時間テレビで、AKBとモーニング娘。が絡んだこともあったんですけど、それ見ても『プロレスだ』と思ったんですよ。モーニング娘。はやっぱりデカいんですよね。身長的にもデカくて、キャリアがあるから安定感もあって、正直モーニング娘。なんか今まったく興味ないんですけど、ああやって並ぶと全女的なものがあるんですよ。JWPなんですよAKBが。ちっちゃくて可愛いし良く出来てんだけど、アイドルとしての可能性は絶対そっちのが高いんだけど、でもやっぱ全女すげえな!みたいになっちゃうんですよね」

吉田「戦いが始まったんですよ、ついに。アイドル戦国時代って言って、そこでマイクで上手いこと言えるグループも限られてるんですよね。昨日の会見でもそこで挑戦的なことを言えたのがやっぱりももクロスマイレージだけで。スマイレージも初めてハロプロが作った対抗戦要員だったんですよ。外に打って出れるグループを初めて作って、他はAKB無視してたのにAKBの名前をことさらに口に出して『AKBに負けたくない』とか。過剰にそういうのを意識して作ったグループなんですよ」
清野「めちゃくちゃ戦略的に練られた集団なんですね」

マネージャーがプロレスオタだから、こういうフェス的な場所を戦いと捉えてるっていうのはめちゃくちゃ刺激的です。
少し前の、ももいろクローバー神聖かまってちゃんのツーマンライブ「ももクロとかまってちゃん」でも、ももクロは「いきなり激しい曲ばかり7曲連続、休憩なしで踊る」っていう、凄いことに初挑戦してるんですよね。自分らのライブでもせいぜい続けて歌うのは3曲前後なのに。そのうえで「私たちのことを知ってる人は手を挙げて!」「今、手を挙げなかった人も、次は絶対挙げさせてあげるよ!」と宣戦布告っていう。完全にかまってちゃんのファンを持って帰る気マンマン。これが「潰し合いモード」ってことなんでしょうね。

さらに、マネージャーがプロレスオタ過ぎると、「対抗戦に強い」以外にもこんな特徴があるという話も。

吉田「ももいろクローバーっていうのは完全なプヲタなんですよ、マネージャーが。だからシリーズのタイトルを『新春ジャイアントシリーズ』とか、『サマーファイトシリーズ』とか付けて、新日本と全日本のロゴマークのパロディでマーク作ったりとか、メジャーデビューをこないだした時の記者会見っていうのを、わざわざホテル借りて、全員ジャージで来て、辻(よしなり)アナ呼んでコールさせて、公開の体重測定やって、みたいな。どうかしてるんですよ。どこに向けて電波出してんだ?ってことやってんですよ」
清野「やり過ぎな感じもしますけど……」
吉田「やり過ぎです。誰が拾うんだって話じゃないですか。拾えるのは僕らぐらいですよ。一部の、プロレスを通ったアイドルオタしか拾えないから」

あとプロレスネタだけじゃなくって、まあレアなやつだとは思うんですけど、ライブでの寸劇でキン肉マンネタもやらされてたらしいです。

この辺は分かる人だけ分かればいいと思うし、「プロレスが分からないからももクロが100パー楽しめなくて悲しい」って人が出てこないことを祈るばかり。非プロレスファンもあんまり深く考えず、単純に楽しんで欲しいです。
とはいえ、矛盾するようなこと言いますけど、「知識ゼロのままで見ても単純にすごさが伝わるけど、余計な知識が知れば知るほどハマる」というのも実にプロレス的なので、ももクロきっかけでプロレスファン増えないかなー、っていうのもちょっと思ってます。

東スポプロレス大賞'09・ベストバウト、葛西純vs伊東竜二を見よ!

祝、葛西純vs伊東竜二東スポプロレス大賞'09・ベストバウト受賞!(ソースは東スポ携帯サイト)

(上の凄まじい画像は葛西純ファンサイト・「MONKEYTRAP−さるわなー」様より拝借)
いやー、この試合はサムライでしか見てないんですが、ホント素晴らしかった。これ見て何も感じないやつはED!

なんていうんですかね、僕の周りには、このお笑い番組が面白かったとか、あのドキュメントが良かったとか、自分と同じものを見て笑ったり感動できたりっていう人はわりといるんですよ。だけど、ことプロレスに関しては「プロレス(笑)」っていう人ばっかりなのが不思議でしょうがないんです。「面白いもの好きなはずなのに、なんでプロレス見ないの?」と。
まあ地上波でやってるプロレスは良い試合じゃないことも多いし、プロレスってのは歴史を知らないと面白さが半減するジャンルなんで、入り口は異常に狭いんで、しょうがない部分は多々あるのも承知してるんですけど。
ぶっちゃけ「非プロレスファンにも胸を張って勧められる」っていう試合は意外と少ないのではないかと思ってますが、そんな人たちにも葛西vs伊東は響くと思うので、いろんな人に見て欲しい。下に動画貼っておくので、暇なときにでも見てくださいよ。これ見て何も思わないやつはED!(2回目)
これだけで「プロレス面白い」ってなるとは思いませんが(そもそもプロレスの中の面白さって何百通りもあるし)、せめて「プロレスも悪いものじゃないな」って思って欲しいです。

2人で一騎打ちするために会社を辞めたり、業界のタブーを破った発言までしてるのにそれでもスレ違い続ける複雑な運命から、ケガで残された選手生命がなくなったことによる電撃的な試合決定まで、ほぼ煽りVTRにまとめてあるから初見の人でも気持ちを入れて見れるし、観客の想像を超えた命を削る試合ぶり、衝撃のラスト、試合後のマイクアピールまでのパッケージとしての完成度が異常なんですよ。その辺の映画を軽く超えている。ただし、デスマッチなので血が苦手な人だけはちょっとお勧めしません。動画サイトで見るぶんには劣化してるとはいえ、肉体をガラスの破片やカミソリで切り刻むような試合なので。

プロレス否定派の人は「プロレスはインチキだからつまんない」って言うけど、まだそんなこと言ってるのかと。
プロレスは誰がなんと言おうと真剣勝負ですけど、仮に、あくまで仮にですよ、プロレスが全部結果が決まってるものだとしましょう。で、例えば会社でプロレスのストーリーを決める会議があって、ある程度ベテランの人が「君よりも若手のA君のほうが人気あるし、ちょっとA君に負けてくれない?」って言われたとして、ベテランの人は「はい分かりましたー」って軽く負けられないですよ。負けたら悔しいはずですよ。
勝ち負けってのは見てる人が納得しないといけないんです。極端な話、いくらジャニーズ的な若手がいたとしても、売り出したいからってデビュー戦でチャンピオンに勝ったら客席はシラけるでしょう?もしあなたがストーリーを自由に決めていいって言われても、そんな話作らないでしょ?そういう意味で、試合の勝ち負けってのは、スポーツ・格闘技的な能力での説得力、プロレス的な上手さ、他にも集客力、顔、華、カリスマ性、その後のストーリー、偉い人に気に入られてるかどうか、そういうの全部ひっくるめた上でのものなわけです。だからプロレスで負けるっていうのは、人間として総合力で負けてるということですよ。格闘技なんて技術さえ磨けば勝てるわけですから、だから仮に、あくまで仮に!プロレスの結果が全部決まってるものだとしても、プロレスのほうが何百倍も難しいでしょうし、プロレスのストーリーとか、勝って嬉しい・負けて悔しい気持ちとかは全部本物なんです。
それと全く同じ意味で、伊東と葛西の「2人ですごい試合やろう」って気持ちも本物だし、流れた血や汗も本物だし、2人が命を削ったことによって観客が受け取った何かも本物だし、試合後に「これで終わりじゃねえ」って言ってるのも、「大した金を稼いでるわけでもねえ」って言ったのときの気持ちも全部本物なんですよ!

とハードルを上げきったところで、大日本プロレス・2009年11月20日(金)後楽園ホール大会メインイベント、カミソリ十字架ボード+αデスマッチ(30分1本勝負) 伊東竜二vs葛西純ニコニコ動画ですが見てみてください。最初の煽りVだけでもいいので是非!

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一応YouTube版も。



三沢さんのこと

三沢さんが死んでしまったことについてなかなか受け入れられなかったんですが、昨晩ニュースで当日の映像を見てやっと頭に整理がつき始めてきたので書きます。

僕は93年からプロレスを見始めたので、三沢さんについてはタイガーマスク時代も鶴田との戦いも見ておらず、ちょうど川田とのタッグを解消した時ぐらいからしか知らないのですが。

深夜まで頑張って起きて見ていた全日本プロレス中継では、三沢さんはいつもひどい目にあっていました。川田、小橋、田上、秋山、ハンセン、ウイリアムスあたりに殴られ、蹴られ、投げられ、頭から落とされる。
「三沢になら何をやってもいい」、「新しい危ない技を思いついたらまずは三沢に試せ」。そういう共通認識があるのではないかというぐらいの攻撃を受け、「今日ばっかりは負けるんじゃないの……?」と何度も思いながら見ていましたが、それを2.9で返し、逆転勝利するのが三沢光晴というプロレスラーでした。

プロレスというのは、倒れてから立ち上がる過程を見せる競技です。
普通の格闘技だったらレフェリーに止められているような、フラフラになっているところからの勝利。あるいは、その試合で負けたとしても時間をかけてのリベンジ。勝てないにしても、奮闘する姿。そういうドラマこそがプロレスなんですよ。プロレスラーが倒れても倒れても立ち上がる姿を見て、ファンはプロレスラーの頑丈さに感動し、「日常で辛いことがあっても耐えきれば何とかなるかもしれないな」という勇気を貰うんです。
やられっぱなし、負けっぱなしで終わるなんて非情なものは、ただのガチじゃないですか。死んじゃったらリベンジしようもないじゃないですか。何やってるんですか三沢さん。「リングで死ぬのは本望だろう」って言ってる人も多いですけど、リング上で死んで終わりなんてプロレスの結末として最悪ですよ。それで本望なわけないですよね?


インターネットでの反応を見ても、今回の事故については「悲しい」とか言う前に「意味がわからない」「あの三沢が……」と言ってる人が多いように思います。橋本真也が亡くなったときとも違う感じ。
例えば、超強い格闘家が試合中の事故で亡くなったとしても、こんな感情にはならなかったと思います。プロレスという「受け」が存在する特殊なスポーツエンターテイメントで、「受け身の天才」「ゾンビ並みのタフさ」とまで言われる三沢さんがバックドロップが原因で亡くなったからこそこんな気持ちになってしまうのでしょう。

三沢さんの試合を見ながら「死んじゃう!」と思ったことは何度もありますが、死なないと信じているからこそなんとか見れていたわけで、これからは三沢さんの過去映像すらまともに見られそうにありません。死んじゃう!と思いながらも楽しんで見てる側にも責任はあるのがなんとも辛いです。

この事故きっかけでプロレスが衰退していくのは三沢さんもとても悲しむと思うので、カウント2.9プロレス及びそれをありがたがる風潮がなるべく少なくなることと、安全に対するシステムの整備が進むことを切に願います。

最後に三沢さん、ありがとう、大ファンでした。地元に巡業に来たときに撮ってもらった2ショット写真はまだ大事に持っています。

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訃報を知ってから、思い出したこととか考えたことを雑に箇条書き。

  • 過去の映像を見直すと、川田へのエルボーとかガッツンガッツン入ってて、プロレスに相当見慣れてるはずの今でもびっくりした。
  • 小橋との激闘で、解説の馬場さん号泣。「馬場さんが泣いている!」
  • 馬場さんからダイビングネックブリーカーでフォール勝ち。「禅譲」という言葉が頭に浮かぶ。
  • イリアムスが自宅に飾ってある写真は、自身が三沢にエルボーを食らってるとこ。その写真をプロレスを馬鹿にする人に見せてるという話はとてもいいと思う。
  • 「奥さん、乳頭の色は?三沢光晴オールナイトニッポン!」
  • 三沢「お前らのな、思う通りにはしねぇよ、絶対!」 橋本「三沢ぁ、思い通りにしてやるから覚えとけぇ!」
  • ヒクソンについて聞かれたときの「ドロップキックの受け身ができない人間はウチのリングに上がらせない」という発言に見えるプロレスへの誇り。
  • 冬木がガンになったときの損得勘定抜きでの引退試合開催、冬木の「俺はあいつとだけはケンカしたくない」発言。
  • 丸藤からまさかのGHC奪取。(大人げない!)
  • ノアになってからは、少なくともレスラーとしてはあんまり印象にないです。
  • 最後に三沢さんを生で観たのは2007年12月のDDT新潟大会なんだけど、スタッフとして本部席にいたので「ミ!サ!ワ!」コール出来ず。
  • 入場時にコールしやすい3大入場曲って「爆勝宣言」「スパルタンX」「HOLD OUT(武藤旧テーマ)」だと思うので全滅してしまったなあ……。
  • 武藤とのシングルも夢のままで終わってしまった。シャイニングを肘で迎撃、っていうシーンが見たかった。
  • プロレスゲームでキャラクターを作る時に、どのゲームでもエース格は常にタフな設定にしてしまうんだけどこれは明らかに三沢さんの影響だと思う。
  • この事故で「ノアだけはガチ」を証明したな、みたいなこと言う人がいるけど、結果が決まってようと決まってなかろうと痛いもんは痛いので、投げがハードだからガチ、っていう理論がよく分からない。
  • 予定調和とか茶番とかの揶揄で「プロレス」っていう言葉を使うのが本当に嫌いなので、プロレスってのは「人によってはバカバカしく見えることを命懸けでやる」っていう意味で使いたいと思います。

5/29 キン肉マニア2009(JCBホール)

【ゲスト】串田アキラ
【MC】バッファロー吾郎ケンドーコバヤシ
【実況】若林健治
【演出・映像制作】 PRIDE・DREAMチーム(佐藤大輔氏)
【構成】 マッスル坂井
【参加予定選手】 ミノワマン
【超人6人タッグトーナメント出場決定チーム】

僕はキン肉マンゆでたまごとプロレスとマッスル坂井と格闘技と佐藤大輔ミノワマンバッファロー吾郎ケンコバが好きで、ブログにもこの辺りの人達について何度も書いてるような人間で、ブログ名もはてなIDもごらんの有り様ですので、女房を質に入れてでも見に行かねば!と思いました。

……とは言ったものの、イベントの開催が発表された時点では情報も少なかったし、「漫画のキャラが現実に!」系のイベントってコケるイメージしかないので躊躇してたんですが、プロレスラーと超人を交えた6人タッグトーナメントにビッグ・ボンバーズ(カナディアンマンスペシャルマン)がエントリーされた時点でチケットを購入しました。

参考:ビッグボンバーズまとめ

「これは伝説になるので目撃しておかないと後悔する」という気配がしたからです。

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俺たち文化系プロレス DDT

俺たち文化系プロレス DDT

俺たち文化系プロレス DDT

全方位型エンタテインメントとして蘇る、新しいプロレスの指南書!!
「はっきり言ってしまうと、俺よりも強く、身体能力に優れ、スター性のある選手はいくらでもいる。そんな俺がなぜDDTという団体を率いながら、ここまでやってこられたのか? それは俺が、この体育会的な考え方が根強いプロレス界において、常に文化系的な発想を武器にしてきたからである」――「まえがき」より
★話題の実験的プロレス興行「マッスル」主宰・マッスル坂井との師弟対談も収録!!

高木三四郎は自分が働いているDDTテックの上の会社の社長なので、社長の本の感想なんてあんまり書きたくないんだけども(読んでる人からすれば宣伝にしか見えないだろうから)、読みやすさもあってイッキ読みするほど面白かったので書かせていただきます。

まず最初に思った感想が「いい意味でまともすぎる」ということ。普通はプロレスラーの著書といえば、吉田豪さんの書評の格好のエジキになったりする感じの浮世離れしたエピソードが満載で、そのレスラーのファンですら「スターになるには普通じゃだめだよね…」と無理やりフォローしてしまったりするんだけども、この本は良い意味でツッコミ所がなさすぎるのがびっくりした。
プロレスラーの自伝にありがちな、若い頃のケンカの武勇伝とか、部活でこんなシゴキに耐えたぜ的な話もなく、学生時代のエピソードとして出てくるのも「イベントサークルを結成→そしてイベント屋として成功」というもの。読みながら「え、まだプロレスやりそうにないけど大丈夫なの…?」って思ってしまう。「学生時代にクラブイベントで2000人集めた」とか「飯島愛と組んでイベントを仕掛けたら新聞の一面になった」みたいな話が載ってるプロレスラーの自伝なんてこの本だけ!しかもそのイベント屋のくだりとかも別に要らない話じゃなくて、いろいろ後半に繋がってくるからね。

変な話、高木三四郎はドキュメント番組が作りやすいレスラーではないか思う。それもプロレスファン向けじゃなくて、「こんなにプロレスラーっぽくないプロレスラーがいますよ」っていう一般向けのネタには困らなそうだから。
この本の目次だけ読んでも、「テレビ番組研究会」「イベント屋稼業」「参院選出馬」「コギャル作戦」「ヴェルファーレで披露宴プロレス」「2ちゃんねるミクシィ」など、これが本当にプロレスラーの自伝なのか?というタイトルばっかり出てくる。
そしてトラブルに見舞われまくりながらもいろんな要素が絡み合ってなんとかなっていく高木三四郎の半生は、単純にサクセスものとして十分に楽しめる。トラブルの原因が古いプロレス界独特の杜撰さだったりするんだけど、それを「文化系の能力=プロレスラーっぽくなさ」で乗り切るという、その「駄目な世界を変えていっている」感も痛快。いつかマジで情熱大陸とかで取り上げられれば面白そうなんだけどな。

DDTが実験を繰り返しながら段階を踏みつつエンターテイメントプロレスになっていく様子だとか、ひと昔前のインディー事情だとかも書いてるので、プロレスファンが見ても十分におもしろいんだけど、この自伝は普段プロレスを見ない人にこそ読んで欲しい。そして「この自伝はおもしろかったけど、じゃあこんな本を書く社長がいる団体はどんなのなんだ?」ってDDTに興味を持ってくれれば最高。

自伝の中の「完全無欠でないヒーロー」という項に、「新日本プロレスの棚橋選手はルックスも申し分ないし試合も巧いんだけど、スーパースターとして見られていない。しかし大家健 のような、女性問題で失踪したり12歳の女の子に本気で恋をしてそれを他のレスラーに写真に撮られてブログにさらされるようなダメ男にもヒーローになるチャンスはある。だから大家健を男にするために火の輪くぐりをさせてその様子をYouTubeで世界に流した」というような話がある。
仮に2人が対戦したら間違いなく棚橋選手が勝つんだけど、人間的にどっちが面白いかといったら僕個人としては確実に大家健だし、こんなとこを読んでるような皆さんがどっちを面白がれるかっていうのも確実に大家健ではないかと思われる。簡単に言えば大家健の面白がり方を分かりやすく伝え、大家健をある意味スーパースターにするプロレスが「エンターテイメントプロレス」であり「文化系プロレス」ではないだろうか。言い過ぎか。

今までプロレスに興味のなかった人、中でもネットにハマってるようなタチの悪い人種が見ても面白いプロレス、ということにかけてはDDTは相当なもんだと思うので、皆様DDT及び高木三四郎をよろしくお願いします。

スーパー下流レスラードキュメント

HOT SPAとWEB SPAの連動企画、「スーパー下流レスラードキュメント」がめちゃくちゃおもしろい。
http://spa.fusosha.co.jp/hotspa/muscle/
の「マッスル劇場はこちら」をクリック!

今回は「マッスル」及び「マッスル牧場」などで常にオチ担当となり、ひどい目に合わされ続けているトップ・オブ・汁レスラーこと大家健さんをねぎらう意味で、マッスル坂井が「風俗おごるよ」と呼び出し、そのプレイの様子を盗撮するというタチの悪いドッキリ企画。
もちろんそのまま撮影するわけにもいかないので、「M性感なので目隠ししてね」と言って視界を奪い、そこに天才ゲイレスラー・男色ディーノさんが……?

マッスル公式サイトのインフォメーション欄を担当してるのは僕なんですけど、
http://www.ddttec.jp/muscle/index.html
無駄に長い煽り文を書いてしまうほどには面白かったです。大家さんは幸せになって欲しい。


あと、昔の日記で書いた、「男色48手」がWEB SPAで見れるようになってました。こっちも必見!
http://spa.fusosha.co.jp/hotspa/muscle/ent_3668.php

マッスルハウス5(後楽園ホール)

さて新年1発目のマッスル。
詳細はこちら。
http://www.miyatasan.com/~yagifau/2008/musclehouse5.htm

まあいろいろあった興行ですが、Perfumeを世に出した功労者のひとりでもある、ライムスター宇多丸さんが大絶賛してくれたのが嬉しいです。
http://playlog.jp/rhymester/blog/2008-01-05

遅まきながら、本当に遅まきながら、
初めて『マッスル』の興行を観に行ってきました。
これが予想していた以上に……凄かった!
前半の、言わばメタ・プロレス的な「構造」だけでも、
すでに十分過ぎるほどレベルの高い
(そしてモロに私好みの)面白さを達成しているのに、
最終的には意外や意外、
文字通り「リアルに」体を張ってみせることで、
ジャンル本来の根源的な感動を、
ストレートに体現するところまで突き抜けてしまうという……
ちょうど『デス・プルーフ』にも通じる偉さというか。
とにかく、
虚実皮膜の間でひたすらクラクラさせられたあげく、
最後は腹にドスンと来る、
極上のプロレス体験、させていただきました!

自身のラジオでも冒頭から30分ほどかけて絶賛。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1963614
宇多丸さん自身があまりプロレスに明るくないこともあるのか、プロレス及びマッスルを知らない人に向けてこと細かく説明してくれたうえで「日本で見れるエンターテイメントの中でも最高クラスのもの」とまで絶賛してくれてるのが驚き。「マッスルってなんだ?」っていう人はwikipediaを見るよりもこの放送を聴いたほうがいいかもしれないです。
というか僕は今まで何度も周りの人間(主にプロレス好きじゃない人)にマッスルを勧めてきたんだけど、「試合がスローモーションになったり、リングの上でドッキリをやったりしゃべり場をやったりするんだよ」とか表面部分だけを説明してみても、「お前の話を聞く限り全然おもしろそうじゃない」と一蹴されてきたんですよ。それでも無理やりDVDを貸したりしたあとには「見てみたらめちゃくちゃおもしろかった」とは言われるのだけど、言葉で魅力を説明するのは不可能なのか?と悩んでいたところなので、言語化してくれたのはありがたい。このラジオ聴いたら「マッスルおもしろそう」って思っちゃうもの。

ものすごくざっくりとまとめると、話してた内容はこんな感じ。

前半はプロレスをメタ化して、プロレスの虚実の「虚」の部分をこれでもかとばかりに強調して見せている。
プロレスとアイドルの成り立ちづらくなった歴史は似ていて、虚実皮膜を楽しむエンターテイメントの「虚」の部分っていうのは、80年代以降、時代の空気やインターネットの発達で「見えやすく」なりすぎた。そこで「実」であるPRIDEなどの格闘技が流行り、プロレスは「虚」なんでしょ、作り物なんでしょ、ということで成立しづらくなっている。本当は虚実の合間、本当かな?嘘かな?っていうどっちだけでもない部分を楽しむものなのに。
アイドルだって本当は処女じゃないのに「本当は恋愛禁止なの」というフリをしているものだった。でも暴露されちゃったり、アイドル本人が「やってられっか」ってなったりするし、音楽的にも「アイドルじゃなくてアーティストよ」という「実」の部分を拡大している。そうやってアイドルとプロレスはマニア限定のものになっていった。

マッスルが頭いいと思うのは、そこを逆手に取って、プロレスの虚の部分を強調して「プロレスとはこういうものですよ」という種明かしに近い反則技をやっている。これは脱構築的、ポストモダン的で現代的な見せ方で、「世間の人はプロレスのこういうとこをこう見てる」っていうのを分かってるな、と。

ところが、マッスルというものに感動させられたのはここから先。言ってみればサンプリング世代的な、ポストモダン的なのはマッスルでいえば前半だし、ヒップホップっていうのはそういうものなのかもしれないし。映画でもタランティーノ以降サンプリング的なものは多い。そういう表現は時代にフィットしてるんだけど、後半は様相を変えてきた。

メタプロレスという感じでお遊び的に見ていたんだけど、プロレスはいくらお約束とはいえ、体を張っていて、殴られたり投げられたりすれば痛いし、本当に強いプロレスラーがやれば死の危険性すらあるものである、という「実」の部分を後半になって見せ付けてくる。「本物の」プロレスラーの鈴木みのるさん達が登場してきて、さっきまでメタプロレスを演じていたマッスルの選手達を完膚なきまでに叩き潰し、マッスルの選手達もそれに食らいついていく。前半の「ゲラゲラゲラ」っていう空気が嘘のように、リアルな何かがそこで展開され始めるわけです。そこで「さっきまで笑って見てたけど、大丈夫なの?死んじゃうよ?どうやって終わらせるの?」と、プロレスというものの虚実皮膜の快楽に完全にハメられてしまったわけですよ。本当にハラハラしてたから。

プロレスって世間の人にはこういうところが嘘っぽく思われてんだよね、ってわざとやってみせる前半に対して後半は文字通り体を張って、体現するんだっていう覚悟、志に本当に感動した。

これを見て連想したのはグラインド・ハウスっていう映画で、前半がロバート・ロドリゲスのプラネットテラー、後半はタランティーノデス・プルーフ。まさにプラネットテラーはメタB級映画で「B級映画ってこんなもんでしょ」っていう表現。タランティーノが他のサンプリング映画と違うのは、本当の映画の魂を掴もうっていう意思が、志がある。原始的な、文字通り体を張ったアクションを見せることでサンプリング世代の表現という小ざかしさを突き抜けている。これはまさにマッスルハウス5の流れで、さっきまでが感心だとしたら、後半は感動してしまった。

マッスルハウスに関してはさらに重たすぎるもうひとネタがあるんだけど、皆さんが何かで見る機会があるかもしれないんで言わない。これはマッスルファンですら賛否両論あったみたいで、僕らはプロレス慣れしてないんで、え、これは本当?これはネタ?という感じで虚実の間を行ったり来たりさせられ、おなかいっぱいになり、興奮してしまい、本来はラジオの打ち合わせで集まったはずなのに打ち合わせが全然できなかった。

と、ここまで。これだけ読んでも分かりづらいと思うので、上に貼ったニコニコ動画のリンクから聴いてみてください。

そしてマッスルが気になった人は、マッスルの公式サイトからオンラインショップに行き、マッスルヒストリーというDVDを買ってください。今のとこ、残念ながら会場に行くかサムライTVで見るかDVDを買うかしか見る手段がないので。

入門にはマッスル最高傑作といわれるvol.7がお勧めです。これはもう、上でも書いてますが今までに見た全エンターテイメントの中で一番感情を揺り動かされましたし、プロレスを知ってる人知らない人、男女問わず色んな人にむりやり貸して見せたんですが、まあ5人ぐらいですけど、全員が「おもしろかった」と言ってくれました。上にレポ貼っておいてアレですが、なるべくネタバレなしで見て欲しい。

あとはまあ、背表紙がコレクター欲を微妙にそそるので、気になったらどんどん過去を掘り下げる感じでいいと思います。
参考→http://d.hatena.ne.jp/Nakamyura/20080114#p2

以上、宣伝でした。