「この漫画がすごい!2007 オトコ版」に山口貴由先生インタビュー
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/12/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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山口先生のインタビューを抜粋してみます。
「20年近く描いてきて、『いままでの手法はもういいかな』と思った。(中略)今度は自分より上等な尊敬できる人の“何か”を借りて、方向を変えたかった」
「ダ・ヴィンチ」のインタビューでも、熟語とかにこだわるのはやめて絵で勝負したいとか言ってましたからね。まあ進化と言えるんでしょうけど、『覚悟』からのファンとしてはまた四字熟語タイポグラフィを読みたいというのが本音。でも無理そうだなー。
「武蔵とか竜馬とか、有名な剣豪や偉い武士には感情移入できない。(中略)足りないものだらけで必死に足掻く男達にシンクロして入り込めたんです」
「(「逆流れ」や「流れ星」の絵を創造したことについて)剣道は少しやっていましたが、武道を極めたわけじゃない。中途半端なのがいいんじゃないかな。型にしばられないで、自由に発想できて。(中略)正当ではない亜流が、ものすごく強いことに快感を感じるんです」
「手負いの方が強いんだ!」「残った右がやけに熱いぜ!」というのは初期からずっと根底にありますね。
「(シグルイは)最初は前後編くらいで考えてました。1話目は本来の前編部分なんです。原作は短編ですから、普通にやればそんなものでしょう。担当に前編を見せたら、これは面白いなって。タイトルは見開きで入れようとか、次で終わりじゃなくて、もっと話を引き伸ばせとか、大河ものにしようとか、急展開。突然の方向転換もさほど大変ではなかったです。今までもハッタリで乗り切ってきましたから」
編集の人ってココ読むと『バキ』と『覚悟』の担当だった人ですよね。ナイス引き伸ばし!
「伊良子や藤木は余計なことは言わない。彼らは黙って理不尽を受け止め、宿命と戦うでしょう。剣戟シーンも音があるとスピードが落ちる気がする。無音のほうが遥かに速い」
インターネット、特にテキストベースのサイトだと印象に残るネーム部分ばかりがネタにされがちですが、漫画読むと無音の戦闘シーンもかっこいいですよね。あれに四字熟語が入るとやはり台無しになるのか・・・(まだ言ってる)
「藤木も伊良子も剣を極めても上手くは生きられない。(中略)良いことをしても誰も知らないから残らない。宮本武蔵は宣伝するのが上手いですよね。自分の戦歴を書いて発表する。できねぇよそんなことって思うやつより強い。『五輪書』があるから武蔵は剣豪として後世に残って歴史になった。伊良子にも藤木にもそんなセンスはないんです」
不器用というのは山口先生にも重なるところ。もっと光を!
「この3年で変わったんです。反省したんです。この性格のままじゃダメだって。でも『シグルイ』が大ヒットして大金持ちになったら、また変わるかも。満たされてハッピーで、もう何も描けなくなっちゃう(笑)」
ファンとしては複雑ですが大ヒットして欲しい。あと映像化の話もいくつかあるそうです。どうやるんだ。アニメなのか実写なのかは描いてませんでしたけどどっちにしろ難しそうだなー。見たいぜ実写版。
いまのCG技術って腕がない人とか指が多い人って簡単にできたりするんでしょうか。あと実写でも毎回全裸になって欲しいよ。もちろんその時の筋肉がちゃんとしてないとダメだよ。
気になったところはだいたいこんなとこでしょうか。もっと読みたいと思ったら買うべし。若先生のインタビューにハズレなし!
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