さよならテリー・ザ・キッド

おとなをからかっちゃいけないよ

久保ミツロウ『モテキ』第7話 「JINGI・愛してもらいます」

モテキ』がやっぱり超絶おもしろい!
おもしろいけど、読んでて心をえぐられまくりで死ぬほど辛いので久保先生の利き腕を折りたい!もうこの先描かなくていいです!(明らかに言いすぎ)

1話目を読んだときの感想はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/hurricanemixer/20081111/1226414004

で、一応タイトル通り「モテ期が来た」って言う話で、今週のイブニングで既に7話目だけど、いろんな女の子といろんな事があった割にやっぱり深い仲には進展してない。
以下、ここ最近のネタバレ。あ、単行本1巻の発売が3月23日に決定したそうです。

前々回が、「主人公が今までで一番好きだった女の子・夏樹ちゃんが酔うと誰とでもエロいことする人だったことが判明。主人公の友達とも飲み会で何かあったっぽい。でもそれを主人公は知らないまま、夏樹ちゃんとホテルに行くことに…」

さらに前回が「主人公はホテルに慣れてないから自宅に誘う→でもヘタレなので手を出せない→夏樹「やっぱりあなたを男として見れない」→何もなし→主人公・友達・夏樹ちゃんの姉(ブス)との飲み会で、友達と女の子の関係が発覚→ショックすぎてブスとホテルへ→童貞喪失→…とここまでが回想で、夏樹ちゃんと再会した現在へ戻る→『好きじゃないなら優しくすんなよ!』とかなんとか言ってるうちに、主人公、夏樹ちゃんを抱きしめるとこで『続く』!」

という超展開。うおー、ついに好きな人と結ばれるか、良かったねーと思って、待望の今週号を見てみたら、主人公が有休消化で九州の実家に戻ってきたところからスタート。そして親に「地元戻って仕事探せ」とか言われる。あ、これ僕もこないだ電話で言われたわ……。うう……。

「貯金も夢も彼女もいない30歳になるなんて思わなかったぜ!せめて好きな仕事とかに…って思っても今更だし ああ…25歳の俺を殴りに行きたい!」
「いや 殴るのは夏のあの夜の俺だな」

というところから回想へ。

「まさか立たないなんて………… 俺の天才的なスルースキルに乾杯☆ 死にたい死にたい…っっウッ」
「夏樹ちゃんとは気まずくて3カ月以上連絡していない 夏か俺は女から誰も連絡をもらえないでいる」

ぐああああ。なんでだ。いやー、この主人公には幸せになって欲しいわ…。確かにあんまり褒めるとこないけど…。悪い人じゃないんですよ?(フォローの常套句)(自分もよく言われます)


その後ちょっと端折りますが、地元の居酒屋で昔の知り合いの女の子(元ヤン)に最近のことをボヤいてたら

「いい娘じゃん みんな 藤本の事 そんな好きでもないのに相手してくれるなんて 何が不満なの? ヤリたかったらまたお願いすればいいだけじゃん」

とバッサリ。
「愛し愛されたいんだよっ 今まで彼女いた事ない俺にできるわけが…」とボヤき続けるも、

「結局 藤本の中で誰かの役に立てるイメージが持てないの? なんでそんなに自信がないの?」

と返され、

「まともな青春を過ごしてないから?誇りを持てる仕事をしてないから?お金を持ってないから?地味な外見だから?薄っぺらい人生経験しかないから?」

と自問することに。うおー。うおー。もう、もうやめてーーーー!


なんていうんでしょうね、非モテつっても本気で恋人が欲しいわけじゃなくて、ただ「恋人いるのが当たり前」みたいな世間の風潮に対してものすごいコンプレックスがある、っていう層がいると思うんですけど、そういう人たちはこの漫画読まないほうがいいですよ!ぐおおおおおー。
主人公が元ひきこもりで「ネットで上から目線の日記を書くことだけが生きがいだった」っていう描写があったりするので、ブロガーの皆さんも絶対に、絶対に読まないほうがいいですよ!


あと、モテキがおもしろすぎるので久保先生の過去作品を全部読みました。

トッキュー!!(1) (講談社コミックス)

トッキュー!!(1) (講談社コミックス)

3.3.7ビョーシ!!(1) (講談社漫画文庫)

3.3.7ビョーシ!!(1) (講談社漫画文庫)

トッキュー!』『337ビョーシ』ともに少年誌なんで恋愛描写はそんなにないんですが、「女の子が可愛い」「ボヤき」「ちょこちょこ挟まれるサブカル的な小ネタ」というのは芸風として一貫してるので全部好きです。
まあサブカルっていうかAMラジオテイストっていうか。実際、『モテキ』でも伊集院光のラジオの話をしてたりとか(定義山の油揚げネタ)、今週だとラストで絵柄がビーバップハイスクールになったりとか。先週なんか「そんなふうに考えていた時期が俺にもありました」で始まりましたからね。久保先生は完全にネット側の人間。
トッキュー!』にも本筋と全く関係ないとこに3人組のアイドルが出てきて
「いのしかでーす」
「あっちでーす」
「のーちゃんですっ」
「「「3人あわせて『ぱうだー☆』です」」」
とか。で、それを見てたやつ(主人公のライバル。シベ超AKB48好き)が「オイは『ぱうだー☆』がアキバでチラシ配りしよった頃くらいからのにわかばいっ」とか言うのがすごい。全然にわかじゃねーよ。


久保先生は女性作家なのになんで恋愛におけるボンクラ男の気持ちが分かるのか謎だったんですが、そういうサブカル趣味のものを好むようになると思考が似てくるのかもしれないですね。言っちゃ悪いけど久保先生もモテなさそうだし…!実際、単行本のおまけコーナーでずっと「モテない」とボヤいてるし……!でも話してみたら超面白そうなので、お付き合いするかどうかはともかく会ってみたいですねー。(上から目線の日記)
まあ、非モテ男の心を持ってるだけでこんな漫画は描けるはずないとも思いますけどね。もしそれだけで描けるんだったら、もっと非モテ男性作家がこういう漫画描いてるはずだし。非モテ男の友人は多そうだから、そういう人たちにいろんなエピソード聞いてるのかなあ。あと伊集院のラジオとかで童貞達の話を聞いて、自分もモテないから共感もしつつ、かつ男女の違いを面白がりつつ、作中の女子みたいにバッサリ切ってる気はする。
モテキ』も「ダメな草食系男子あるある」を描いて男子の共感を得ておいて、でもやっぱり女性だから厳しいこと言うわ!こんな男やっぱり嫌い!ドーン!みたいな構成。ひどい!

当ブログは「心に童貞を飼う女」久保ミツロウ先生を応援しています。