さよならテリー・ザ・キッド

おとなをからかっちゃいけないよ

子供の想像力の映画『マイマイ新子と千年の魔法』

http://www.mai-mai.jp/index.html

見てきました。素晴らしかった、けど話題になってなさすぎ!

「今なにが流行ってるか」って、2chまとめブログとかツイッター見てればだいたいは分かると思うんだけど、それでも「マイマイ新子」のことは全然タイトルすら聞いたことなかったんですよ。

でもたまたま絶賛してる人を見つけて、調べて感想をあさってみたら見た人は全員が全員、大絶賛してるので気になったので実際に映画見てきました。

マイマイ新子と千年の魔法」を迷わず見に行ってほしいんですよ!!!! - たまごまごごはん
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20091201/1259612324

↑とんでもない熱量(なのにネタバレなし!)でこの映画をお勧めされてるので、「そんな映画聞いたことねえよ」って人はまずこの文章を読んでもらえれば興味を持ってもらえることかと思います。僕はこれを読んで見に行きました。


その他絶賛してる感想の一部。

http://d.hatena.ne.jp/Dersu/20091202/p1
>「こんな映画が観たい」との願望に応える映画ではなく。「本当はこんな映画が観たかったんだ」と気づかせてくれる映画

http://d.hatena.ne.jp/eichi44/20091204/p1
>『マイマイ新子と千年の魔法』(片渕須直監督)という作品が、記憶にも記録にも残らず埋もれていくにはあまりに惜しい。口惜しい。歯がゆい。ふがいない。

http://twitter.com/pencroft/status/6200852004
マイマイ新子は日本映画史/世界アニメ史において「事件」なのですが、それをどう伝えればよいのか困ります。

http://kotoba-project.jp/blog/2009/12/06/maimai/
>素晴らしかった。本当に素晴らしかった。これはなんというか、存在すること自体が奇跡のような、そんな映画だ。何が奇跡なのかを一言で言えば、この映画が「物語のイロハを完全に無視した映画である」ことだ。いや、違うな。「物語のイロハを完全に無視したところで作られながら、観るものの心に極めて深い感動を与える」ところに、この映画の素晴らしさがある。

http://pixiv.cc/yayaya-no-ya/archives/1724254.html
>できれば、同世代のアニメファンに観てもらいたいんです。「アニメ映画はここまで来たんですよー!」と教えてさしあげたい。昔からアニメを観ている人ほど、「マイマイ新子」の画面の繊細さと豊かさに目を見張るんではないかと思います。

http://sasab.hp.infoseek.co.jp/colmun/colmun-maimai/maimai_index.html
>子どもたちの泣き・笑い・遊びを、子どもたちの目線で、みずみずしく描く。……などと書くと、「あー、『涙と感動の超大作』ね、けっ」と感じる人もいるでしょう。そう思ったあんた、認識が甘すぎるぜ。 遊びが持つ「想像力」のパワーをテーマに据えたこの作品、明らかに、一度少年時代を終えた大人という、一筋縄ではいかない偏屈な連中だからこそ、感じることが出来る感動を持っている。 疑う必要はない。傑作である。それだけ信じて劇場にGoだ。

http://movie.maeda-y.com/movie/01388.htm
>批評家としては一番まずい事なのだが、この映画で私は大いに感動したものの、その理由がわからないという状況に陥った。つまり、説明はできないが、とにかく心を打たれたのである

http://d.hatena.ne.jp/hissa/20091201#1259693032
>「とにかく黙って観に行ってくれ!」「こんな感情の動きをあらわすすべを僕は知らない」

http://b.hatena.ne.jp/makaronisan/20091201#bookmark-17659940
>もっとマイマイ新子の感想が読みたい。あのぼろぼろ流れた自分の涙の意味を知りたい。見に行って何か感じた人、映画の感想書いてください!読みたい!

「めちゃめちゃ良かったけど自分がなんでこんなに感動してるのか分からない」って書いてる人が多い不思議な映画です。僕も面白かったけど具体的にどこがどう面白かったのか全然説明できないので、リンク貼りまくりで少しでも興味を持ってもらって、見に行って欲しいです。


分からないけど分からないなりにちょっとだけ感想を。

上の感想でも書いてる人多いんですが、「文部科学省選定映画」っていう肩書があるせいか地味な印象があるんですよね。なにも知らずにプロモ映像とか公式サイト見ても「いい話なんだろうけど地味そう」としか思わんですよ。ちょっとひねくれてる人なら「泣かせたいんだろうな」とか「はいはいノスタルジーノスタルジー」って思っちゃうのではないかと思います。僕は映画の舞台である山口県出身なんですが、たぶん地元に住んでる時にテレビCMでこの映画のことを知っても「県内でしかやってないんだろうな」って思っちゃいそう。それぐらい地味で話題になってなさすぎ。もったいない。

単純に映像の楽しさだけでも相当なものなのでそれだけでも見て欲しいです。ジブリとか好きな人ならそれだけでも見る価値あるはず。

「主人公の新子が1000年前の風景に思いを馳せる」というシーンがこの映画のキモで、何度も出てくるんですよ。
子供向けの歴史の本って「古代人がどんな生活をしていたのか想像してみよう!」みたいなことがよく書いてあるけど、実際はそんなに想像なんてしないじゃないですか。本に描いてあるイラストを見て「へえー、こんなのだったんだ」って思うぐらいで。

でも新子は想像力が尋常じゃないので、「ここの川が直角になってるのはこういう理由だよ」っておじいちゃんに聞いただけで、あるいは「ここには偉い人が住んでたお屋敷があったんだよ」って学者に聞いただけで想像力が暴走して、実際に1000年前のイメージが立体化して、新子にしか見えてないけど新子は実際にその空想世界で遊べちゃうんですよ。

例えば漫画『ONE PIECE』を読んでると、尾田先生の頭の中ではそれぞれのキャラも全員実際に生きてて、生き物以外の建物だとか文化だとかにも全部細かい設定があって、それぞれの生活を見て切り取って描いてるだけなんだろうなって思う時があるんですよ。漫画に描かれてない場所も全部動いてるというか。
新子もそれと同じぐらいの想像力で1000年前の生活をとんでもなくディティール細かいとこまでイメージできてて、自分の頭の中のイメージの事ながら「へえー、ここはこうなってるのかー」って思ってそう。尾田先生も新子と同じ遊びが得意だったと思いますよ。

「1000年前にも人が住んでた」って言葉だけで言われてもあんまりピンと来ないですけど、実際にそれを超細かいディティールの超美麗アニメで、超楽しそうに新子が遊んでるのを見せられると「昔のことを想像するのって楽しいな」「想像力があれば人は豊かになれるな」って思っちゃうんですよ。この映画を子供の頃に見てたら、もっと空想好きになれてたんじゃないでしょうか。そういう意味では文部科学省選定映画なのは納得です。

ジブリっぽいですけどファンタジー的な要素はありませんし、どちらかというと「大人が見てノスタルジーに浸ってください」みたいなプロモーションをされてる気がするんですけど、ぜひとも子供に見てもらって空想の楽しさを知って欲しい。徳光康之の「濃爆おたく先生」に「さてはキサマ うつつを抜かしたことがないな 愚か者め うつつを抜かしてこそ 豊かな人生!」って言葉がありますが、空想力さえあれば人生は楽しいですから、たぶん。と書いておきながら、大人になってからあんまり空想とかしてないことに気づいて泣きそう。最近はだいたい実際に見えるもののことしか考えてないので、もっと色々と空想して自由になりたいと思いました。

↑ここまで書いた感じだと楽しい映画に見えるかもしれないけど、それだけじゃないのがこの映画のわけわかんないところなのでそのへんは実際に見てくださいとしか言いようがない。


で、最初に書いた通り、全く話題になってないので観客動員的にもボロボロらしいんですよ。

マイマイ新子の続映がピンチです!」
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20091205/1259893582

都内だと11日金曜で終わっちゃうとこが多いっぽい。
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tyst/id334304/
http://www.mai-mai.jp/theater.html
しかも平日午前中だけに縮小されたりしてるので、もう「近所だと見れない」って人も多いのではないかと思うのですが、見れる人は是非。
もっと、トトロとかと同じレベルで大人から子供まで全員見ていい映画だと思います。映画の動員的には失敗したけど、せめてテレビで毎年やるとか、地方の公民館で定期的にやるとかして、1人でも多くの人にに見て欲しい。


追記

ラピュタ阿佐ヶ谷で12月19日〜26日の間、夜9:00からの上映が決まったそうです!フワッフー!

http://www.laputa-jp.com/laputa/program/mai-mai/