さよならテリー・ザ・キッド

おとなをからかっちゃいけないよ

市民の平和は守るが視聴者の心は乱すおまわりさん、朝加圭一郎という男について(「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」第30話「ふたりは旅行中」感想)

9月2日に放送された「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」(以下、ルパパト)、すごくよかったですね……。僕は幼少期からスーパー戦隊シリーズをそこそこ見てるんですが、これが一番好きな回かもしれません。

だって先週流れた予告がこれですよ。

有給を取って温泉地に現れた圭一郎。そこには偶然にも同じく休暇中の魁利の姿が。仕事じゃないなら一緒に回ろうとの提案を断りきれず、二人の珍道中が始まるが…

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #30 ふたりは旅行中 | 東映[テレビ]


は????? なんで日曜朝から、敵対している男2人の温泉旅行を見せられないといけないんだ! 最高!!!

知らない方に説明しますと、ルパパトは快盗戦隊と警察戦隊という2つの戦隊が登場するんですね。ルパンコレクションという不思議な力を持った宝物を盗んで集める義賊的存在である“快盗”ルパンレンジャーと、正義のために戦う国際特別警察機構の戦力部隊・パトレンジャーという2組のヒーローがいて、犯罪集団ギャングラーと三つ巴の戦いを繰り広げているわけです。だから快盗戦隊と警察戦隊は基本的に敵対しているのに、そのリーダー同士の男2人が温泉旅行……!

ルパパトはこの夜野魁利/ルパンレッドと朝加圭一郎/パトレン1号という男2人の関係性が、とにかく絶妙なんです。そんな2人がメインの回なので、何かが進展するはずだという期待もあるわけですね。「2人の温泉回だ、わー!」とTwitterで騒いでたら知らない人に「え、いまの戦隊はこんなBLっぽいの狙ってんの?」と言われたりもしたんですが、そんな単純なものじゃないんですよ!ということは声を大にして言っておきたい。まあ夜野魁利役の伊藤あさひと朝加圭一郎役の結木滉星は、撮影現場でもイチャイチャしてるらしく、それを映画の舞台挨拶等でもよくネタにしてるんですがね……。

結木が現場での伊藤について「メイクしてたら、ひざの上に乗ってくる」と言うのを聞いて、犬飼は「ベストマッチじゃないですか!」とうらやんだ。
natalie.mu

で、この30話「ふたりは旅行中」がいかにすごかったか、っていう話をしたいんですが、まずパトレン1号/朝加圭一郎の話をします。なぜなら朝加圭一郎が好きだからです。

番組が「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」というタイトルなので、一応2つの戦隊が主人公扱いということにはなってるんですよ。「君はどっちを応援する?」というキャッチコピーもあるし。とはいえ、番組的にはルパン側が出番が多く、パトレンジャーはライバルポジション。で、おそらくちびっ子にはルパンレンジャーのほうが人気あるのかなと思うんですが、大きなお友達にはパトレンジャーというか朝加圭一郎が大人気。日曜朝のTwitterトレンドワードに「朝加圭一郎」が並ぶことも珍しくありません。なぜかフルネームで呼びたくなる男、朝加圭一郎(最近では魁利に倣って「圭ちゃん」呼びも増えてきた気がしますが)。人々の安全と平和を守るおまわりさんである朝加圭一郎が、いかに人々の心を乱してきたのかという話からさせてください。


おそらくですが、今騒いでる人たちも最初から朝加圭一郎が好きだったわけではないんです。第1話の彼を見た個人的な印象は「なんかルックスもおっさんくさいし、キャラ造形も一昔前の熱血刑事って感じだし、これが本当に戦隊のレッド……?」といったところでした。「君はどっちを応援する?」って言われても、放送前の注目ポイントが工藤遥演じる早見初美花/ルパンイエローだったこともあり、ルパンレンジャー一択でしょう、と。でも自分が朝加圭一郎に対してまず「おっ?」と思ったのが、3話「絶対に取り戻す」の回。国際警察の3人が、素顔の快盗たちが住み込みで働くレストラン「ジュレ」に行った直後に、事件が起きたせいで何も食べずすぐ帰るんですね。でもその後、お店に再訪した朝加圭一郎が「先日は何も頼まず申し訳なかった」って謝ってたんです。それを見て「もしかしたらこの朝加圭一郎という男、育ちがいいのか?」と感じたのが最初のフックとなりました。


そして多くの視聴者が朝加圭一郎の朝加圭一郎らしさに気づいたと思われるのが、第4話「許されない関係」。パトレンジャー側、特に朝加圭一郎と警察側の紅一点・明神つかさ/パトレン3号を掘り下げる回です。

ここまでの印象だと「テンプレ熱血おまわりさん」と思われていた朝加圭一郎と並び、つかさも「よくいる男勝りのクールビューティキャラかな」という印象でした。ですが、まず序盤、密室から人間が消えたという事件現場に向かうパトカーの車内での、陽川咲也/パトレン2号も含めた3人の会話。

圭一郎「おのれギャングラー、必ず悪事を暴いてやる!」
咲也「まだギャングラーの仕業と決まったわけじゃないですよ」
圭一郎「人が密室から消えてるんだぞ!」(運転席の咲也につっかかる)
つかさ「どうどう、圭一郎、あぶない」
咲也「さすがつかさ先輩、落ち着いてますね」
つかさ「慣れてるだけだ。圭一郎とは訓練生時代からの腐れ縁だからな」

「熱血な1号、クールビューティな3号の腐れ縁同期生コンビ+後輩キャラの2号」という、ベタながらバランスのいいトリオであることが伺えます。おれも「どうどう」って言われたい。

咲也「じゃあつかさ先輩の弱みなんかも知ってたりするんですか?」
圭一郎「弱み? 思いつかんな……」
つかさ「フフッ。圭一郎に見抜かれるような私じゃない」


続くこの会話を聞いても、「ふーん、弱点がないなんて、つかさ先輩は見た目通り、しっかりしたお姉さんキャラなんだな」というイメージを抱かされました。しかしこれは前振りにしか過ぎなかったのです。詳細は省きますが、なんと今回の事件の流れで、「つかさはかわいいぬいぐるみが大好き」「誰も見てないところではぬいぐるみに顔をスリスリして癒やしを得ている」という意外な一面が明らかに。

これがみんなにバレてつかさは顔を真っ赤にするんですが、ここで特筆すべきは、圭一郎はそれを昔から知ってたというんですね。

「見てたのか!?」と慌てるつかさに対し、「だってお前、昔からやるだろ。訓練生時代も」とお菓子をもりもり食べながらさらっと話す圭一郎。普段からクールにしてる女子にそんなギャップがあっても、笑いもしない、人にも言わない優しさ。この話の冒頭の「弱み? 思いつかんな……」も違った意味合いが出てきますよね。こんなおもしろネタを弱みと思わないなんて……いや、もしかして極端に他人に興味がないだけかも……とこの時点では思わなくもなかったんですが、次のエピソードを見てみましょう。

6話の「守るべきものは」。これも警察戦隊側を紐解くお話です。5話でパトレン1号がルパンレッドに負けちゃうんですが、6話冒頭のルパンレンジャー・パトレンジャー・ギャングラーでの三つ巴の戦いで、パトレン1号がルパンレッドにこだわりすぎたせいでギャングラーを取り逃してしまうんですね。ここでつかさが圭一郎にビンタ!からの、「国際警察に配属されたばかりのことを思い出せ」ということで、回想シーン。回想はつかさが新人時代、お金のために戦力部隊に入ったという意外なことを言う場面から。

圭一郎「ギャングラーを最前線で相手にする戦力部隊か……」
つかさ「給料もいいし、年金も充実してる」

圭一郎「お前はなんのために国際警察に。志とかないのか?」
つかさ「そんなの私の自由だろ」
圭一郎「いや生活も大事だ。否定はしない」

要はこのあと、「国際警察になったことで手に入れた力で守るのは己のプライドより市民の平和だ」みたいなことを圭一郎がつかさに対して言っていた(ので圭一郎はそれを思い出せ)、というのが大事な話なんですが、朝加圭一郎という人間を語るには「生活も大事だ。否定はしない」がポイントだと思うんですね。つかさがかわいいぬいぐるみを好きなのも、お金のために国際警察になったのも(お金が必要な理由もあとでわかるんですが)、あくまで個人の考えを尊重して否定しない。一見するとテンプレのカタブツで馬鹿正直な熱血キャラだけど、たまに見せる気遣い、品の良さ、育ちの良さみたいなところが絶妙なバランスで垣間見えるのが、「朝加圭一郎らしさ」ではないかと思います。これはたぶんメイン脚本の香村純子さんの描写が丁寧なことによるものが大きいので、香村さん以外が脚本を書いたときには、朝加圭一郎がただの熱血バカになってることもあるかな……という気もしますが、それぐらい朝加圭一郎というキャラは絶妙なバランスなうえに成り立っているということではないかと。

この4話、6話で視聴者が「朝加圭一郎らしさ」に気づいてからは、朝加圭一郎人気は不動のものになったのではないでしょうか。この時期から、Twitterでは朝加圭一郎関連のクソ真面目さ、不器用さをかわいさと捉えるような2次創作がめちゃくちゃ回ってくるようになったと記憶しています。特に特撮オタクばっかりフォローしてるわけでもないのに、例年より明らかにオタクたちが騒いでいるんですよね……。

続く7話は初美花と咲也のデート回だったので、さすがに朝加圭一郎の出番は少なかったものの、初美花をデートに誘う咲也に「彼女に本気なのか?」と、さらに「可愛いコとは仲良くなりたいじゃないですかあ」とチャラく答える咲也には「ふしだらな!」と真面目な顔で言い放つ朝加圭一郎。

この昭和のお父さんみたいな二言だけで朝加圭一郎の好感度が爆上がりする回。あー、おれも朝加圭一郎に恋の相談をして、結婚を視野に入れたクソ真面目なアドバイスをされたあと「私が好きなのは貴方なんです」って伝えて固まる朝加圭一郎が見たい。

その後も

  • ギャングラーによって一時的に性転換させられたところ、Twitterのトレンドに「江角マキコ」が入る朝加圭一郎「(第11話「撮影は続くよどこまでも」)

  • 子供のことは好きだけど子供には好かれない朝加圭一郎(第14話「はりめぐらされた罠」)

  • 猛毒攻撃を食らうが病院から抜け出して戦いに来てしまう朝加圭一郎(第15話「警察官の仕事」)

  • ギャングラーによって見させられた夢の世界で、理想とする自分の姿が「最高のヒーローになれた」とかじゃなく、「事件ゼロの平和な世界で警察官になって暇になった」だった朝加圭一郎(第17話「秘めた想い」)

  • 私服が完全に休日のお父さんな朝加圭一郎(第20話「新たな快盗は警察官」)


などいろいろトピックがあるんですが、もはや我々の語彙は「今週も朝加圭一郎は朝加圭一郎っぽい」「朝加圭一郎のこういうところが本当に朝加圭一郎」「朝加圭一郎かわいい」しかなくなってしまいました。

特撮系雑誌のルパパト関連インタビューもいろいろ追ってたんですが、なかでも印象深かったのは、ハイパーホビーvol.9での朝加圭一郎役・結木滉星インタビュー。「朝加圭一郎、すごい人気ですね」「手応えは感じてますか」と聞かれてるんですが、印象的な部分を抜粋します。

結木 周りからも言われたりはしますね。俺はSNSとかネットとか余り見ないので、よくわからないんですが……メイクさんとかに「圭一郎バカウケだよ。なにやっても可愛いって」って、嫌そうな顔で言われるんですよ。嫌そうな顔することないのに(笑)。でも本当に、可愛いと思われたくてやってはないんですよ。圭一郎はこういう風にするんだろうなと、考えての演技です。
編集部 あざとい演技ではないんですよね。可愛さを求めてるわけでもない。
結木 俺からしてみたらどこが可愛いんだよって思うんですけどね、これの。

朝加圭一郎を演じてる人が「朝加圭一郎、人気ですね、可愛いですね」って話題を振られて、「SNSとかよくわからない」「どこが可愛いんだよって思うんですけどね、これの」って答えるの、めちゃくちゃ朝加圭一郎じゃないですか? 特に「これの」の部分。自分を指して「これ」って。

さて、ようやく30話「ふたりは旅行中」の話に戻ります。最初に「2人のレッドの関係性が絶妙」と書きましたが、29話までの2人のキャラクター及び関係性をざっくりまとめると、こんな感じでしょうか。

夜野魁利/ルパンレッド

  • ノリが軽く飄々としているように見えるが芯は強く頭がキレる、快盗戦隊リーダー。
  • 快盗戦隊になった理由は「ギャングラーに氷漬けにされた兄を取り戻すため」(ルパンコレクションを全部取り戻すとどうにかなる説がある)。
  • 快盗戦隊3人は、警察戦隊3人の正体を知っている。
  • ルパンレッドとしては、ルパンコレクションを集めるためにはパトレンジャーは邪魔。
  • どんな状況でも体を張るパトレン1号には「本当に厄介なやつ」「かなわない」と評価。
  • 序盤は圭一郎のことを「熱血おまわり」と小馬鹿にしていたが、彼の正義感や戦う姿勢に感銘を受けたのか、「圭ちゃん」と呼ぶようになり、徐々に距離が縮まる。

朝加圭一郎/パトレン1号

  • 市民の安全を第一に考える警察官。
  • 強い正義感を持っているが、それゆえに序盤は快盗を相手にすると暴走して周りが見えなくなりがちだった。
  • 魁利たちが働く店の常連客ではあるものの、快盗戦隊の正体は知らない。
  • 魁利が荒れて夜の街を歩いているところにも「警察官として危ない目に合いそうな人を見過ごすわけにはいかない」「そんな顔して歩いていたら厄介な連中に絡まれる」と言って魁利の相談に乗ろうとした。
  • ルパンレッドに対しては「快盗(=犯罪)という手段を取った段階で間違っている」という姿勢だったが、徐々に「快盗にも事情はあるかも」と理解を示すようになる。


図にするとこんな感じです。朝加圭一郎がルパンレッドと夜野魁利を同じ人だと思ってないので三角関係ぽくなっちゃってる。

ほかにもちょっとややこしいですが、20話から登場した新キャラ・高尾ノエルがルパンレッドを騙してルパンコレクションを奪ったとき、ルパンレッドが「誰かと違って卑怯なおまわりさんだ」って言ってたのも魁利と圭一郎の関係性を表すセリフとして印象的。

本人がいないところで「誰か=パトレン1号」を思い出して「あいつは正直」って認めてるっていうのがね……。あと「誰かと違って」って別の男と比べる言い回し、なんかエッチだし……。

そんな魁利と圭一郎が旅する30話。あらすじには「有給を取って温泉地に現れた圭一郎。そこには偶然にも同じく休暇中の魁利の姿が」とあり、予告段階では「この2人、そんな仲いいのか?」と思ってましたが、実は圭一郎は、パトレンジャーの武装「VSビークル」を盗んだ強盗団と取引をするために温泉地に出向き、魁利はその偵察という構図でした。とはいえ「いいじゃん一緒に観光しよう」と魁利に言われた圭一郎が断れないのもまた圭一郎らしさ。2人でご飯やお饅頭を食べたり、射的を楽しんだりするんですが、2人の空気感がめちゃくちゃ兄弟っぽいんですよね。しっかりした兄の圭一郎と無邪気な弟の魁利。

ここで街を歩いていた2人は迷子の女の子を見つけます。圭一郎の「子供は好きだが子供には好かれない」というスキルが発動して警戒されるものの、魁利のサポートにより「両親に買ってもらった髪飾りをなくして、探してるうちに迷子になった」という事情を聞き、交番へ。

子供を預けた圭一郎は、即座に街にダッシュして髪飾りを探しに行き、対する魁利はお土産屋に同じ髪飾りを買いに行きました。そして魁利が交番に戻ってくると、髪飾りを見つけた圭一郎が、汗だくになりながらもまっすぐな笑顔で「あったぞー!君の宝物!」とダッシュで走ってくる。



自腹で済まそうとした魁利は引け目を感じ、髪飾りをしまってしまいました。


うおお! 魁利も間違ってないよ! 圭一郎が「宝物」ってキラキラした言い方しちゃうから、金で済ませようとしたのが余計に悪そうに聞こえるけども!手段までも正しくあろうとする圭一郎と、結果を残すために手段は問わない魁利というのも、警察と快盗の対比になっている気がします。


いつもクールで飄々とした魁利のこと、このときもサラッと受け流すと思いきや、圭一郎に心配されるほど浮かない表情。なぜならこのとき魁利には、幼い頃に兄と2人で旅行に行った際に、迷子の女の子を助けた兄の姿がフラッシュバックしていたのです。

ここで魁利と兄・勝利について。第5話の回想では「兄との言い争いの直後に兄がギャングラーに襲われて氷漬けにされて消滅する」というものだったので、仲が悪いし後味悪いなとは思ってたんですが、第9話「もう一度会うために」でも、魁利は「昔は兄のことが好きだったが、成長するに従って優秀な兄と比べられるのをコンプレックスに感じられるようになった」ということを告白しています。仲が悪い(というか魁利が兄に素直になれない)ように見えたのはそれが原因なんでしょう。


第9話での映像は、「兄はバスケがうまかったけど自分はそうでもなかった」というものでしたが、この30話では「兄は迷子の女の子を助けたけど、自分は女の子に対して『俺の兄ちゃんなのに』と嫉妬してしまった」というコンプレックスが描かれています。さらに「まっすぐに髪飾りを探した圭一郎と、お金で済ませようとした自分」という対照的な状況から、兄と圭一郎を重ねてしまって落ち込み、圭一郎に心配されるも「べつに……圭ちゃんは清く正しい人間だなと思って」と嫌味までいいはじめる。

ここで8月にマイナビニュースで公開されたインタビューを引用します。

『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』伊藤あさひ、役の根底に監督の言葉「魁利の兄と圭一郎は"似ている"」
――第1、2話や今度の劇場版を手がけられたメイン監督の杉原輝昭さんからは、演技についてどのようなアドバイスをもらいましたか。
一番初めの撮影のときに杉原監督から言われた言葉があります。それは「魁利の兄と圭一郎は"似ている"」ということです。圭一郎のまっすぐな正義感と、お兄ちゃんの優しいまっすぐな部分が重なって見える分、快盗をやっている魁利にとっては辛いんじゃないかな、ということを杉原監督から言われました。その言葉が僕の心に染みて、魁利の役作りにそのことを生かしていこうと思いました。
news.mynavi.jp

なるほど。インタビューを読んだ時点では、「魁利の兄と圭一郎が似ている」というのは裏設定かと思っていたんですが、ここで脚本にも反映されてきましたね。子供を助けた後、魁利に「ガマンして待っててくれたじゃないか」とフォローする兄と、同じく子供を助けたあとに「あのとき助け舟を出してくれた(子供になつかれない圭一郎を変顔にした)じゃないか」とフォローする圭一郎。自身を「冷たい人間だ」と自嘲する“夜”野魁利に「そんなことはない」と手を差し伸べるのが“朝”加圭一郎なんですよね……。魁利に圭一郎はまぶしすぎる。

その後いろいろあって圭一郎が強盗との取引で消防車型VSビークル・トリガーマシンスプラッシュを手に入れたところにルパンレッドとして駆けつけ、マシンを圭一郎から横取りした魁利。しかし、先の一件でテンションが下がりまくっているためどうにも戦闘に身が入らず、圭一郎に「どうした? お前にしては甘い戦い方だな」と言われる始末(戦いながら相手の調子の悪さに気づくのも朝加圭一郎っぽい)。

そんな戦いの中、離れた場所で戦闘をしているつかさから圭一郎のもとに「こっちで大火災が起きてるのでそのVSビークル(消防車)が必要だ」と連絡が入ります。これを聞いた圭一郎がなんと「ここからなら、俺のパトカーよりおまえの飛行機のほうが早い」とルパンレッドに命令。ルパンレッド(犯罪者)に警察が武装を渡したうえで、“これで火事を沈めて市民を助けろ、なぜならそっちのほうが合理的だから”と言ってるわけですね。当然、敵対しているはずのルパンレッドは「なに言ってるんだよ」となるわけですが、圭一郎はただ「行けぇぇぇぇぇ!」と絶叫。

普段「おのれ快盗!」と言ってるルパンレッドに対して「おまえなら必ずギャングラーによる被害を食い止めてくれるはず」と信用してる圭一郎。本当は(兄に似た)圭一郎のような行動が素直に取れたらいいということは頭ではわかっていながらコンプレックスをえぐられる魁利。圭一郎の光が眩しくなればなればなるほど魁利の影がくっきりと出てくるわけです。30話を終え、魁利役の伊藤あさひTwitter

「ついに、物語の中でも、魁利が、圭一郎にお兄ちゃんを重ね始めました。 弱点になっていきますね、、。」
と書いています。そうか、兄に似ているっていうのが弱点になるんですね。(あとこのツイートに「なんども聞くけど、付き合ってるの?」とリプライする工藤遥~~~!)

快盗をしてでも助けたい兄と似てる朝加圭一郎を騙している罪悪感もあるだろうし。そんな魁利は、巨大ロボ戦でギャングラーを倒した後の決め台詞「アデュー」もテンション低めで、30話の最後まで重い空気を出していました。しかも最後に発したセリフが「似てんじゃねえよ、めんどくせえ」

……!

朝加圭一郎は視聴者の心だけじゃなく、夜野魁利の心まで乱し始めてしまいました。

これまでの夜野魁利/ルパンレッドと朝加圭一郎/パトレン1号の関係もわりとややこしかったのに、そこに魁利から圭一郎の「(自分も本当はそうなりたいというコンプレックスのある兄に)(ケンカをしたあとに消滅してしまった兄に)(快盗という犯罪行為をしてでも助けたい兄に)似てんじゃねェよ、めんどくせえ」というクッソクソに重くてデカい感情が乗っかってしまいましたよ。面白すぎる。どうなる、「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」!当ブログは朝加圭一郎を応援しています! たぶん終盤で訪れるであろう「ルパンレンジャーの正体を知った朝加圭一郎」がどういう顔をするのかを見るために、皆さんも今からでも追いかけましょう!

※追記
ルパパトいうか戦隊は見逃し配信が少ないんですが東映特撮ファンクラブは過去戦隊いろいろも含めて見放題、ビデオパスは最新話が見れます。あと両サービスともルパパトのオリジナルストーリー独占配信をやってて、東映特撮ファンクラブのほうは「咲也が加入する前にもう1人、幻のパトレン2号がいた!」っていうシリアスめな話なのに対し、ビデオパスは「ルパンレッドとパトレン1号の背中が不思議な力でくっついちゃった!どうなっちゃうの~?」みたいな、温泉回以上に「どういうつもりなんだ」なやつです。
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