さよならテリー・ザ・キッド

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マッスルグランプリ攻略本のゆで先生インタビューがものすごい

PS2キン肉マンゲーム、マッスルグランプリMAXを買ったのですが、ふだんゲームをやらない身には難しすぎるので攻略本を買いました。まあ攻略情報だけならネットにもあるんでしょうけど、手元に置けたほうがいいのと、何より「ゆでたまご先生ストーリー制作秘話」というものが載ってたので資料として購入。

で、攻略本に載ってるインタビューだなんて無難なこと言って終わりだろう・・・とか思ってたんですが、これがもう大誤算。ゆでたまご研究において重要な位置を占めると言っていい、重大発言連発の非常に濃いインタビューでした。
ゲームの内容に沿って「7人の悪魔超人編」と「黄金のマスク編」についてのインタビューなんですが、一部抜粋しますと、

  • バッファローマンは悪魔のままで終わらそうと思ってたけど、担当編集の「彼はいいヤツだと思うんだよな」の一言で改心させた。
  • 地獄めぐりが登場したのは担当編集が大分県出身だったから。
  • 『トロン』という、コンピューターの中に人間が入る映画を見て「これは舞台としておもしろいかな」と思い、キャラの中にちょうどいいウォーズマンがいたのでプラネットマンの心臓部分に置いた。
  • ラーメンマンモンゴルマンになった理由は、フレッシュジャンプで「闘将!!拉麺男」が連載されていたから。「王位争奪編」の途中までというのも、それが闘将の連載時期だから。両作品の編集部から言われたわけではなかったのだが、ゆで先生の方針で「同じ超人がふたつの異なる世界観の作品で同時平行で登場するのはよくないと思って」。タレントが同じ時間帯の裏番組には同時出演しないというようなイメージ。そこまでしてでもラーメンマンは出したかった。
  • スプリングマンが生かされてタッグになるのも最初から決まっていた。理由は「バッファローマンと組むのは小柄なヤツがいいと思ってましたので。往年のプロレスでいうとブロディ&スヌーカ組のような凸凹コンビが好きなんです」。
  • 五重のリングの悪魔騎士4人が初登場した絵ではニンジャが中央にいるのを見て分かるとおり、当初はニンジャがリーダー候補だった。
  • アシュラマンは最初は捨てキャラの予定だったけど阿修羅バスターの反響がすごかったので再登場した。読者の反応を見ながらキャラを転がしている(ニンジャも人気があったので王位編や『II世』でも再登場した)。
  • バッファローマンがカツラを取ったシーンは評判が最悪だった。あれは人間で言えば頭を丸めるという行為に近く、インパクトのある行為をして「正義超人に生まれ変わったんだ!」というのを示したかったのだが、ここまでネタにされるとは思わなかった。
  • 悪魔将軍のデザインは苦労した。ジャンプに掲載された初登場のコマだけは弱そうなデザインで出ている(コミックスでは修正)が、翌週に修正して四苦八苦しながら今のデザインに。アシュラマンは試合中からハガキが来ていたのに、将軍には反応が大してなかったので育てようと必死だった。今は大人になった当時の読者から「悪魔将軍が好きでした」と言われることも多いので育てた甲斐があった。
  • (地獄の断頭台について)「技名がぴったりハマりましたよね。断頭台のイメージがなければ、よく見るとただのニードロップですし(笑)」

などなど、いい話が盛りだくさん。インタビュアーがちゃんと詳しいし、なにより聞きづらい部分にも切り込んでいってるのが素晴らしい。


この他にも詳しく掘り下げたいところを抜粋しますと

周辺キャラも固まってきたので団体戦をやろうということになって、5人選ぼうと。テリー・ロビン・ウォーズまでは読者の人気を考えても順当かなと思ってました。
---となると他の超人、まずブロッケンについては?
女の子の読者から絶大な人気があったんです。ラーメンマンとの関わりのお陰でキャラに背景もありましたし。若い設定で将来性もあったので育てようかと。実際、さっきの3名以外で考えるとブロッケンしか見当たらなかったんですよね。
---え?ではウルフマンの立場は?
彼を登場させるかは本当に悩みました。だって他と比べると浮いてるじゃないですか(笑)。見開きでテリーマン以外の4人が登場するシーンがあるんですが(「おまえばかりいいカッコウはさせないぜ!!」のシーン)、その絵にウルフマンを入れるとギャグに見えないか心配で心配で。
---でもあのやられっぷりは存在感がありましたよ。
彼はいかにしてやられるかが見せ場だと思ってたので、彼が負けるのだけは試合前から決まっていたんです。せめて死ぬことによって人気が出るんじゃないかと思って・・・(笑)。

ウルフマンは作者に「ギャグになったらどうしよう」と心配されるほどに人気がないけど仕方なく登場させられたあげく、人気を上げるために殺されていた!

---このシリーズでは超人強度という概念が始めて登場します。
強さを表すには数値化が分かりやすいんじゃないかと思って。とりあえずバッファローマンの持ち味を分かりやすく示したかったので。
---1000万パワーの衝撃は絶大でした
とりあえずウォーズマンを100万パワーにして、その10倍は欲しいなと。そのあとでキン肉マンなら95万辺りかなとか、ラーメンマンなら97万くらいだろうとか考えていきました。
---では初期の設定基準はウォーズマンとどれだけ差がありそうか、ということにあったんでしょうか?
そういうことになります。さっきの場面(超人強度の説明)で本編に数値が登場した超人以外はほとんどシリーズ終了後のあとづけです。それ以降は定期的に設定していくようになりました。
---後のストーリーでは7600万パワーですとか、信じがたいパワーの超人が多数出てきます。これは一体?
やりすぎましたね(笑)。なのでその反省から『II世』では抑え目に設定してるんですよ。

「やりすぎましたね(笑)」
あっさり反省した!

---キン肉マンという作品の大きな魅力としてよく挙げられるのは、試合中に見られる奇想天外なアイデアの数々だと思います。今回のシリーズでは「吸引ブラックホール」「悪魔霊術血しばり」など、その傾向がこれまでより顕著に現れており、先生も頭を悩まされた機会が多かったと思いますが・・・。
僕らの打ち合わせでは相棒や編集者も意見を出し合って取捨選択するんです。アイデアが出すぎてかえって混乱してしまう場合もありますが、基本的にはそうして対話をすることで発想を膨らませていくスタイルなんです。もっともそれだけアイデアがあるとインパクト優先で勢いでやってしまって、後で困ってしまうケースもよくあったんですけどね(笑)。
---具体的には?
バッファローマンがキン肉バスターを破る場面、あれは攻略を宣言させた時点ではどうやって破るのか方法までは全く考えてなかった(笑)。僕が困り果ててるのを見て相棒がふと言ったんです。この絵、逆さまにすると技のかけ手が受け手になるなって。それやっ!と心の中で叫びました(笑)。当初は、来週の自分ががんばってくれるだろうと思ってたんですけどね(笑)。

先を全く考えてなかったキン肉バスター破り!
「来週の自分ががんばってくれるだろうと思ってたんですけどね(笑)」
のび太くんが言いそうなセリフ!

---そして五重のリングの戦いに移るわけですが、当初の設定だと西武球場は竜巻地獄、蔵前国技館は砂地獄、という風に場所も決まってましたよね?
これはある意味、テコ入れに近いんです。その前の2戦(VSスニゲーター、VSプラネットマン)が盛り上がりに欠けたような気がしていたところで、ウォーズマン戦の身体の中で戦うということを思いついて。これは絶対に面白くなるぞ!と思ったので、残りの超人もこの一箇所に集めたんです。こうして見返すと、プラネットマン戦の最後の方なんてもう、プラネットマン自体はあんまり関係なくなってますもんね(笑)。早く次の舞台に移したくてしょうがなかったんだと思います。

「おもしろい舞台を思いついちゃったからプラネットマンはどうでもよくなって、さっさとウォーズマンを瀕死にしたかった」という衝撃の告白!

---ここでジェロニモが戦列に加わることになりました。彼が人間だという設定は最初から?
読者の子供たちに親近感を持ってもらえるように、超人の中にひとり人間を入れようとは思ってたんです。人間でも頑張れば超人に勝てるというのをやりたくて。
---その伏線があったからか、この五重のリング決戦のトリとしてジェロニモを4階に持っていったんですね。
でも話を進めていくうちに、行き掛かりで対戦組み合わせを間違えてしまいましてね。もともとジェロニモはサンシャインと戦わせる予定だったんですが、その前に4階にニンジャを描いてしまってたんですよね(笑)。それでしまった!と思って途中で対戦相手を入れ替えたんです。
---あれはああいう演出だと思いましたが・・・?
あれは間違えたから翌週に慌てて入れ替えたんですよ(笑)。
---そこまでしてジェロニモをサンシャインと戦わせたかったのには何か意図が?
人間が頑張って戦う姿は、相手がデカい方が絵になると思ってたんです。
---確かにニンジャ相手だと人間同士の戦いに見えなくもないですからね。

「あれは間違えたから翌週に慌てて入れ替えたんですよ(笑)」って!
まあ、かの有名な7人の悪魔超人の初登場シーン(次の週には全然別のキャラに入れ替わってる)に比べれば、作中で辻褄を合わせようとしてるのが成長なのだろうか。でもその入れ替え方が無茶苦茶だったから逆効果だった気もするのですけど。


それでは最後に、サンシャインとザ・ニンジャの不自然すぎる入れ替えシーンをご覧ください。
 
 
 
 
 
 
 
 



「なにィ!!」