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オフ喜利2 総評

オフ喜利2
http://offgiri.jugem.jp/

オフ喜利2 オープニング〜予選Aブロック

オフ喜利2 予選Bブロック

オフ喜利2 決勝戦〜エンディング


どうも、名誉審査委員長です。イベントのラストをシメなくちゃいけなかったのに全くのグダグダでグズグズで、「あれで“そういえばこれは素人のイベントだったんだ…”と思い出しました」等のご意見を多数いただいた委員長です。まあ、その意見は逆に言えば「回答者はみんなすごかった」ということであり、僕は彼らを誇りに思いますが、ひとり見劣りしたのは事実ですので今後いろいろ考えます。

さて、これからイベント時にはまとまらなかった委員長的コメントを書きます。僕は「全く実績が無いのになんか偉そう」という『PRIDE』における高田本部長みたいな役割であり、厳しいことも言うかと思いますがご勘弁を。

まずはAブロック敗退組。


【予選Aブロック6位】
164
164(母さん
予選A組 
第1回時のビデオを見なおしてみても、「内容的にはおもしろい事も言っていたはずなのに客席はクスリともしない」という場面が何度もあり、表現力が悪いのか前半のスベリっぷりを引きずっているのか…という感じで圧倒的な最下位という悪夢を味わったものの、本人にリベンジの意思もあったので再び参戦。前回は「他の人の答えを見て笑っちゃってた」と本人が語るとおり、完全に客になってしまって発言数も少なかったが、今回はかなり積極的になっていたように思う。しかしそれでも大きなインパクトは残せず。2回連続最下位の彼が次回に出演するのは、本人・他の出演者・出場希望者・客ともに納得いかないはず、というわけで次回出演は難しいか?


【予選Aブロック5位】
寺西チョリ蔵
チョリ蔵(どぱいぱんチョリソー
前回準優勝者がまさかの予選落ち。お客さんからの意見で「前回は他の人が良い答えを出すと悔しそうにしていたのに、今回は他の人の答えを聞いて笑ってた」というのがあり、それが全てを表しているかも。前回来た人やレポを見た人から「誰か知らないけどおもしろい」という声が最も多かっただけに残念。次回のリベンジを期待…とは言っても、今回しか見てない人には「あんまりおもしろくない人」という印象しか残ってないよ、と厳しめに言いたくなるぐらいに個人的には期待している。ただ、会場アンケートの「一番印象に残った答えは?」という質問では、彼の『3次元?』が1位の得票数。確かに言い方も含めおもしろかった。序盤にも関わらず(最初の爆発だったからというのもあるけど)みんなの記憶に残っていたのは見事。もし印象点で審査していたら「また見たい」という意味も込めて決勝に出ていたかも。


【予選Aブロック4位】
原宿
原宿(桃色核実験
多くの出演者が「俺が俺が」という前に出るスタイルの中、数少ないマイペース型。自分の仕事はきっちりこなしていたかのように思う。ハズした回答も少ないし、イベント的には彼のようなキャラクターも必要なんだけど、「ハズしても減点なし、数を言ったほうが得」というルールでは勝ち残るのは厳しいか?だけど例えば1VS1のルールだとどうなるのか気になる存在。個人的には予選A組は原宿・チョリ蔵・ヤスノリの3人は誰が3位でもおかしくなかったと思う。


続いて予選B敗退組。


【予選Bブロック6位】
ワタナベ
ワタナベ(ろじっくぱらだいす
テキストサイトで最も有名な管理人であり、「数万人の期待の中、本当に毎日毎日ネタを書いている」という地力を買われての出場。もちろん会場にもろじぱらファンが多く詰め掛けていた為に「ひょっとするとひょっとするかも」との期待もあったが、フタを開ければまさかの最下位。コンスタントに笑いは取っていたものの、大喜利的に斬新な、感心する答えは少なかったように思う。アンケートでも「答えがキレイすぎる」「お題に沿ってるけど…」との感想多し。お題に沿って文句を言われるというのもたまったもんじゃないだろうけども。また、有名人ゆえに他の人にイジられまくり、他の出演者のネタにされまくり。オーソドックスな正統派が反則魔だらけの場所に放りこまれ、ペースがつかめないまま終わったような印象を受けたのも事実。「イジられたからおいしかった」だけで終わりたくなければ、リベンジの場はいつでも用意しておきます。


【予選Bブロック5位】
ヂル
ヂル(メガネバリヤー
前回準優勝・チョリ蔵推薦。昨今の大喜利ブームの発端であろう『ダイナマイト関西』を生んだ大阪人らしく、お笑いを日常的に見てるんだろうな…という感じの技巧派の答えは所々に見せるものの、アウェイのせいかペースは掴めず、発言も少なめ。後半、得意のイラストを使った答えでは巻き返しを見せ、だんだん発言数が増えるも無念の5位。だけど同じく初出場アウェイ組、三村の躍進を見ると言い訳もできないはず。ただ、今回はイベント自体がペース重視・ツッコミほとんど無しな流れになってしまったが、彼の回答はフォローがあればもっと活きるのではないかとは思う。また、数を言ったほうが点数になるのに、得意なのが絵というのも時間がかかるから不利か。ポテンシャルは秘めている気がするので今後に期待。


【予選Bブロック4位】
ポックリボーイ
ポックリボーイ(ポクポクライフ
実はオフラインでの、しかも制限時間が極端に少ない大喜利に慣れている人(参考→ログ置き場)。それに加え、テキストの支離滅裂っぷり通り、普段から「全くのポーカーフェイスで意味が分からないことを淀みなく喋りつづけることができる」という稀有な能力な持ち主。犬ヨ・藤崎の暴走を「ブレーキが壊れている」と表現するなら、彼の無軌道さは「ハンドルが壊れている」とでも言えばいいのだろうか。瞬発力と前衛的な答えで場を荒らすことを期待されたが本領発揮ならず。あと「お題を考えてください」という依頼には「パンはパンでも食べられないパンは?」という、何をどう答えたらうまいこと言えるのかサッパリな問題ばかりを提出してくれた(そしてボツにした)のだけど、そういうお題に対する答えならはおもしろいことを言えるはずの人でもある。普通のお題では力が制限されてしまったか。客席の反応を見る審査員・サカイの得点だと最下位だが、女性審査員・ノナカの評では2位と、見る人によって反応が真っぷたつに分かれる難しい存在。ひょっとしたら死んでから評価されるタイプなのかもしれない。


続いて決勝組6名!


【決勝6位(予選ブロック2位)】
ゴトウ
ゴトウ(一流ホームページ
当たり前だけど、全員がゴトウさんのサイトを知ってるはずはない。なのに「どっからどう見てもオタク」というキャラがやはり強い。オタ系や自虐系の答えに関しては圧倒的にウケるものの、そこ以外で若干弱いか。客層的にオタ関係(とネット関係)の答えはウケるはずなんだけど、「どのレベルのオタ度ならウケてどのレベルなら客席がシーンとなるのか」をリアルタイムで探りつつ進めてたように見えた。そして一度ハズすと明らかにその後にペースを取り戻すのが遅い。また、答えを噛むことと漢字を間違えることも多く、それで笑いは取っていたものの、そこには全く点数があげられないのが痛いところ。そこで客席が笑ってくれない人もいるのでこれはこれですごいんだけど。


【決勝5位(予選Aブロック3位)】 
ヤスノリ
ヤスノリ(俺とパンダ
サイト通り、ものすごく飄々と、淡々とした感じ。出場者紹介文には「酔拳のようだ」と書いたけど、「天下一武道会に出たときの神様みたい」という意見もあり。それぐらい「適当にやってるように見えるけどなんか強い」感じが強い。下ネタ言わない、他人の答えにかぶせない、勢いだけの答えもない。「今からおもしろいこと言いまーす」感がないのでそれだけで目立つし、文字で読みなおした時に最も味わい深いのはこの人の回答だった。プロの芸人でいうならタイプ的には板尾創路さんがいちばん近いのではないかと思うのだけど、板尾さんは「あの人がいちばんおもしろい」と言われることは多くても、この形式ではトップ取れないよな…という感じ。


【決勝4位(予選Bブロック3位)】
岩倉
岩倉(いちご帝国
前回はホームランも多いしハズすこともほとんどなかった為に印象だけならトップクラスだったけど、発言数が少なかったせいで無念の4位。その時の反動か、今回は自分でもあんまり納得がいってない答えでもとりあえず出しておけ!みたいな印象を受けた。勢いだけで出してウケる人もいるのだけど、彼の場合はそういう時はちょっと照れ笑いしながら出すのがまずいのか、全くウケなかったことがわりとあった。また、声が通るせいもあるかとは思うんだけど、出演者の中では一番笑ってたように思う。ということはちゃんと他の人の答えを見ていたということ。いい笑い声は客の笑いも誘発するし、他の人の答えを聞いてフォローしてくれるのもイベントの盛り上がり的にはいいんだけども、もっと自分の答えに集中できてたら上位は間違いないと思う。


【決勝3位(予選Bブロック1位)】
藤崎
藤崎(犬ヨ
相変わらずのやりたい放題ぶり。ただ意味の分からない回答を出すだけでなく、周囲をその空気に巻きこむ力もものすごい。よって彼が回答した以後にはみんな勢いだけで答えるようになり、お題がなんだったのか分からなくなることも数度あり。アンケートで「藤崎さんはお題に沿ってないので岩倉さんが3位だと思います」との意見もあったし、こんな人を上位にはしたくねえなあ、してたまるかよ!みたいな思いも委員長的にはある。でも、悔しいけどおもしろいのだからしょうがない。これからも引っ掻き回して欲しい。現状の「いっぱい言った方が勝ちに近づける」みたいなルールには館長の次に向いていると思う。


【準優勝(予選Aブロック2位)】
三村
三村(クリトレシート
初出場で堂々の準優勝。ぶっちゃけた話、出場をオファーした時点でここまで大喜利ができるとは誰も予想していなかったと思う。でも練習でちょっと大喜利をやったあとには他の出演者から「あれはヤバい」との声が出たほどの超実力者。ちょっと若干キレ気味のクールキャラで、無表情ではあるものの、原宿・ヤスノリらの飄々さとはまた違った引き具合で、出るとこはガンガン出るので発言数も多い。決勝ではノってきて他の出演者いじりまでし始める始末。特に、ワケの分からない答えを出す犬ヨには何度も噛みついたり、変な友情が芽生えたかのように見えた。アンケートで「三村さんが美形なのでドキドキしました」と多数書かれるほどのルックスもあり、ニュースターの誕生といって良いだろう。「誰を見に来ましたか」という会場アンケートでは最下位だったことから彼の突出ぶりは分かろうというもの。ただ、スケッチブックを出してからしまうまでの時間が異常に早く、そのせいで答えが客席に届いてないことが何度もあったので、そこを克服できれば無敵だろう。あとは強いて言うなら「無名ながら準優勝」というのは前回のチョリ蔵がそうだったんだけど、彼はその余裕からか今回はハングリーさを失っていたので二の轍を踏まないように願うばかり。


【優勝(予選Aブロック1位)】
館長
館長(人間道場
まず発言数が圧倒的、しかも速攻で答えてるのにおもしろいという、マシンガンとバズーカの良いとこ取りみたいな人。とにかく弱点が全く見当たらず、圧倒的な力の差で2連覇。ルールとの相性もいいんだろうけど、どんなルールでも優勝するんじゃないんだろうか。出演者・客・審査員、とにかくあの場にいた全員が納得の結果だろう。
全体的に出場2回目組が強かったのを見ても分かるとおり、舞台に慣れは必要なはず。お金を取っている以上は言いづらいのだけど、彼らは全員、普段は舞台にあがることはないという意味では素人であり、初出場でペースを掴めなかった人も多かったし、「大勢の客の前でおもしろいことを言う」というのは、いまだにどう練習していいのか全く分からない。それだけに館長のエンターテイナーぶりは本当に謎すぎる。どういう人生を辿ればあんな風に舞台上で堂々とふるまえるのだろうか。「キャラがわかりやすい」「発声的にも後ろの客席にまで聞き取りやすい」「他の人がおもしろいことを言ってもペース乱れない」「ハズしても気にしない」「引っ掻き回す空気を作れる」等々、オフラインでの…というか大衆に見られてる中でのステージ上の立ち振る舞い方が他の人との差だと思う。レポだけ読んだら、発想力なら他の人でも勝てる可能性は十分にあるのではないかと思うけども、エンターテイナーとしての力はちょっと差がありすぎるように見えた。ヘタしたら日本語が分からない人がこのイベントを見ても「館長がいちばんおもしろい」と答えるのではないだろうか。




【総評】
アンケート等で「現状のルールだと館長が3連覇してしまいそうなので、次回はルールを変えたほうがいいのでは?」という意見も多数もらいましたが、例えば「1回のお題につき、1人の発言数を限定する」「つまらなかったら減点あり」等をやってみるとした場合、それは確かに他の人も活きるし、競技性は上がるはず。だけど速攻連発タイプの人の持ち味が消えて、全体のグルーヴ感はどうしても落ちるはず。わざわざ館長のおもしろさを殺すことはないので、館長の持ち味を活かしつつも競技性は高めないといけない。当たり前ですが、ルール変更はイベントの方向性を大きく決めるので、慎重に協議します。

…というふうに、イベント全体のことを考えようとしたら、どうしても館長のことを考えてしまいます。かつて『PRIDE』のリングでもヴァンダレイ・シウバが強すぎてルールが変わってしまったということがありましたが、それと同じです。それぐらいに、館長はイベントのアイコン(象徴)となりつつあります。いつかは歴代優勝者を集めてグランドチャンピオン大会をやろう、という夢もちょっとだけ遠のいてしまいました。

インターネットで日記・ネタを書いている人というのは、ネット上で「おもしろい人」という評価を受けたり、サイトを知っている人とのオフ会でおもしろいことは言えたとしても、職場や学校ではおとなしい人が多いのではないか思います。また、オフラインで単にノリがいいやつがウケているのを見て「本当は俺のほうがレベル高い」と少なからず思ったことがあるのではないでしょうか。しかし館長は初対面の取引先だろうが親戚の集まりだろうがキャバクラだろうが、常にあんな感じなんだろうな…と思わせてくれるチャンピオンです。「インターネットで日記やブログを書いている彼らはオフラインでもおもしろいのか?」という問いに、胸を張って「おもしろい!」と答えられるという意味でも、このイベントの優勝にふさわしいのではないでしょうか。

次回以降も、裏テーマは「ストップ・ザ・館長」になると思います。幸いなことに、今回の優勝者・準優勝者それぞれの口から「彼が出てたら負けたかも」「あいつは俺よりおもしろい」という候補の名前も出ております。もちろんそれ以外の候補もいますし、今回は惜しくも敗れた連中もリベンジを狙っているはず。予選をやることもあるかもしれません。館長は2連覇したことと、上でベタ褒めしたことでハードルも上がったことだし、止めるなら今しかない!というわけで次は、夏頃に開催予定の『オフ喜利3』、あるいはその前に他のイベントを発表できるかもしれません、とにかくまた会場でお会いしましょう。

以上、審査委員長からのコメントでした。