さよならテリー・ザ・キッド

おとなをからかっちゃいけないよ

熟語のススメ

(はじめに・・・・・・・・・これはロクさん(id:roku666)が某所で「『シグルイ』でも四字熟語を使えばいいのに」と書いていたものを実践・補足してみたものです)


山口貴由先生の名作「覚悟のススメ」で多用される演出として、「四文字熟語をコマの四隅に配置する」というものがあります。


 

覚 悟 完 了

 

 

この「覚悟完了」が主人公・葉隠覚悟の変身時のキメ台詞というかキメ熟語として何度も出てくる代表的なもので、その他にも一部の例をあげるだけでこんな感じ。




四字熟語



「正義誕生」「瞬殺無音」「人類完殺」「超越善悪」「地獄開始」・・・どれも山口先生の独自の言語センスが爆発していて素晴らしい。

他にも「鬼我一体」「鋼我一体」「戦鬼形態」「特攻形態」「調教完了」「調教解除」「捨身成仁」「正義復活」「一撃必滅」「軍鬼剛臨」等、キャッチフレーズ的なものから単なる状況説明まで、ひたすらオリジナル四字熟語を漫画に登場させつづけ、物語の終盤では「2ページ見開きで白背景に『一撃必生』という巨大な文字のみ」という力技も使ったことがあります。

ちなみにこの演出が生まれた経緯としては

「あれって大きな声で叫んでいるんですよ。大きな声イコール大きな字で表すみたいな感覚があって、初めに浮かんだセリフはたいがい長過ぎるので縮めるんですよ。重要な部分のみをピックアップして強調したらああなったんです。それに戦闘中とか長く話せないので、ちょうど電報を打つみたいな感じですね」(キネ旬ムック『BSマンガ夜話 vol.11』で引用されていた『ぱふ』95年9月号 山口先生インタビューより)

とのこと。なるほど。

ところでこの四字熟語エフェクト、なぜか山口先生が現在連載中の「シグルイ」では使われていません。じゃあ無理矢理当てはめてみたらどうなるだろうか、というのをちょっと実際に試してみました。

まず、通常のナレーションと四字熟語エフェクトの比較というのもやってみましょう。なお、ここから先に出てくるオリジナル四字熟語もほとんどロクさん考案のものです。では、まず通常のナレーションから。

柿右衛門が支払ったのは鉄扇であった

 

 

 

続いて熟語。

鉄 扇 会 計

 

見比べると、後者の方が明らかにインパクトがあるのが一目瞭然。それまで頭の中で動画だった絵が急に静止画になり、四隅に「カッ!」という感じで文字が出るイメージでしょうか。上のように、通常のコマ割りで使うだけでもインパクトがあるのに、大きなサイズの「決め」のコマでこれを使用するとそのインパクトはさらに増します。

 

 
 
  

 

 
  

 

 
   

 

 
   

無 明 逆 流

 
 

 

 
 

 

 
  

 

 
  

 

 
   

 

 
   

濃 尾 無 双

 
 

 

 
 

 

 
  

 

 
  

 

 
   

 

 
   

虎 眼 覚 醒

 
 

 

 
 

 

 
  

 

 
  

 

 
   

 

 
   

曖 昧 虎 眼

 
 

 

 
 

 

 
  

 

 
  

 

 
   

 

 
   

双 子 絶 頂

 

上に並べた通り、かっこいいコマだけでなく「え、そんな状況を熟語にするの!?」というのを「わざわざ」やるのが山口節。しかし、山口先生がやりそうなのを実際に試してみて分かったのだけど、あんまりやりすぎると過剰すぎてギャグにしかならない。これは原作つきの「シグルイ」はまずいのでは・・・ということで通常のナレーションになったのではないか、というのが僕の予想です。

おまけ↓

 

 

 

 

 

軟 体 自 慰