さよならテリー・ザ・キッド

おとなをからかっちゃいけないよ

落語の話

上で「一回性」とか書いてて思い出したんだけど、そういえば昔は歌手だとか演劇の人はともかく、お笑いの人は地方とか含めて何百回も同じネタをやるであろうことに対して、同じネタを2回見たら笑えるんだろうか、演じるほうも退屈なんではないか、と思ってたなあ。裏切りの仕組みを知ってたら笑いは生まれない、ぐらいに思ってたから。あ、でも前におぎやはぎが「ネタ知ってる客の前でやるのは辛い」って言ってたの聞いたことあるな…。

まあそれでも、複数の番組で同じネタを披露する芸人っていうのに違和感を感じ、「まあ何か披露する場があるごとに別のネタを考えるのは大変だからしょうがないよね」ぐらいの、非常に偉そうな感覚でした(今でも一言ネタ系の芸人にはちょっとそれを感じますけども)。

だけどそんなことを言っていたら、落語は成立しませんからね。同じネタを「何回も」どころか何百年ってやってたりするわけですから。

少し前、「伊集院光・日曜日の秘密基地」(TBSラジオ)に春風亭小朝師匠がゲスト出演した際、伊集院さんが
「落語自体の“面白い”ってことの完成度にかけては凄いもんだし、著作権もなくてパクり放題だから、落語以外の芸人でも上手くパクってる人はいるし、それ以外のいろいろなジャンルにも気付かれないように落語の要素が組み込まれてたりする。変な話、若手芸人でもそこに気付けたら勝つんじゃないかっていう気はする」
みたいなことを言っていて、そんで「タイガー&ドラゴン」も始まっちゃったし(これは伊集院さんのいう「要素を組み込む」とはニュアンス違うでしょうけども)、落語はちゃんと勉強したいなあ、と思っております。

あと、落語とか演劇とか一回性とかの思い出話みたいなのを前に別の場所に書いたんですけども、上の話と関連するので「続きを読む」部分に貼っておきます。何かこれから広げて書きたかったんだけど、まとまらない。うーむ。

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最近、落語に興味があるのです。
いや正確にはずっとうっすら興味があったまま放置してたところ、背中を押されたというか。

小学校の頃、図書室にあった「日本のおもしろ話」みたいなシリーズの本が好きでよく読んでたのです。そこには「饅頭こわい」等の話が載っていて、当時は落語が元(でいいんですよね)とは知らなかったんですけど。たぶん落語の他にも地方に伝わってる小咄的なものも載ってたんだと思う。そういえば民話や落語は著作権がないからパクり放題らしいですぞ。

で、それ以降もなんとなくお笑い自体は好きで、バラエティよりもネタを見たがる子だったのに落語はやっぱりどうしても敷居が高いせいで避けてたんですけど。

その後、高3の頃に受験の為に長距離深夜バスに乗った際、寝れなくてラジオというか有線なのかな?で落語をやってたのを聞いたんですけど、バスの行きと帰りに偶然、同じネタをやってたんです。でも行きの道で聞いた、若い人がやってた噺よりも、帰り道に聞いたおじいちゃんの落語のほうが面白かったし客席の反応も違ったんです。演技力とか0コンマ何秒の“間”の差だけでこんなに面白く感じるものかと。ましてやそのネタ自体、僕は2、3日前に聞いたばっかりなのに。「同じネタでも演者によって面白さがぜんぜん違う」という、考えてみれば当たり前のことを初めて意識したのがこの時だと思います。
その後、大学で演劇部に入ったのは、いま考えるとその経験の影響が大きいかもしれません。出来て4年目の小さい大学だったせいか落語研究会はなかった。

そんなことがあったし、ましてや演劇部だから落語は聞いておいて損はないはずなのに、何から聞いたら良いのか分からず。入学当初はインターネットもやってなかったし、まわりに詳しい人もいなかったのでそのまま放置されておりました。って環境のせいにするのは良くないんですが。ちなみにプロのお芝居を生で見たのも片手で数えられます。ひどい演劇部員。


…とまあそんな話をですね、こないだお笑いの話をしてたら「アンタッチャブルのコントはネタの発想もさることながら、あの“何を喋っても面白い”という空気を作り出す話芸はすげえ」という話から「例えば落語でも同じネタなのに」って会話になって、上の話を思い出したわけです。

そんでですね、ここでやっと冒頭にの「背中を押された」に繋がるのですけど、そんな話をしたあとに帰宅してから、録音してた伊集院光のラジオを聞いたらゲストが春風亭小朝師匠で、
「落語は話し手によって印象がだいぶ変わる」
「初めて聞いた人が難しい人だと“落語つまんねえ”ってなっちゃうからソムリエ的存在が必要」
HMVとかでもクラシックのコーナーなんかだと“入門に最適”とかのPOPがあるのに落語にはないのがダメなんじゃないか」
という話をしてたんです。なんちゅうタイミングだ、と思うと同時に「ヘタに手を出して落語を嫌いにならなくてよかった」と自分の勉強不足を正当化できてとても良かったです。

そこで小朝師匠が勧めてたのは
「まずは(立川)志の輔さんか(春風亭)昇太さんかな。分かりやすいから耳にフタをするってことがない。特に志の輔さんは基本に忠実なうえに独自の解釈がある」
とのこと。逆に分かってくるようになったら
「先代の(林屋)正蔵師匠。あの人は最後の扉だね。分かりにくい部分もあるかもしれないけど」
「あとは(金原亭)馬生さん。馬生さんはね、いろいろ染み込ませたうえで聞くと“こんなに素敵な人はいない”って思う」
だそうです。ラジオなんで漢字まちがってたらスマンす。フルネームも言ってくんないし。

それにしてもこのタイミングでこんなこと言われたら聞くしかないと思うんで、まずは志の輔さんから聞いてみます。他にもオススメの噺家さんいたら教えてください。

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コピペ終わり。
上のクソ長い文章を読み返して思ったことは、「僕も落語みたく話をうまいことまとめたい」です。ずーん。