さよならテリー・ザ・キッド

おとなをからかっちゃいけないよ

ななめ45゜『TRIO DE CARNIVAL』

ななめ45゜ TRIO DE CARNIVAL! [DVD]

ななめ45゜ TRIO DE CARNIVAL! [DVD]

失礼ながらこのななめ45゜という3人組、名前を聞いたことあるぐらいで全く知らなかったのですけど、なんとなく借りてみたら予想外に面白かったです。というかひさびさに感動したかもしれない。コントの手法としてはアンジャッシュに近いのかな。
ふたつのベタなシチュエーションを組み合わせる、とでもいうのかしら。具体例を出さないと伝わりづらいと思うので、以下、ものすごくネタバレ。


1.式場
結婚式場を借りようとする新郎と式場の係の人のところに別の式場の人が現れ、まるで式で花嫁をさらうように客を奪おうとする。

  • 「僕が間違ってたよ…僕がゴンドラの使用料をゼロひとつ間違ってたよ!」
  • 「もう一度、プラン考え直そう?」
  • 「あんな見積書じゃ両親が納得しないんだ!」「式場は親が決めるんじゃないだろ!」
  • 「僕が二次会までずーっとずーっと面倒見るから、ウチの結婚式場で結婚しよう!」

2.友よ

誕生日を祝ってくれた友達から「二十歳になったら言おうと思ってたんだけど、俺…実はお前の本当の友達じゃないんだ」と、まるで「本当の親じゃない」みたいに告白される。

  • (全然違う人を呼び込み)「お前の本当の友達、後藤ひさしさんだよ」「私のことはね、後藤さん、って呼んでいいんだよ」「お父さん、みたいに言うなよ!」
  • 「俺とお前は血が繋がってない友達なんだ」「普通でしょ、それ!」「考えてもみろ、俺はO型、お前はB型。BとOには友情は生まれないって血液型占いに書いてあったんだよ!」

3.真夏の情事

男の家でエアコンを直す電気屋。そこにもう1人電気屋がやってきて、まるで浮気現場のような修羅場になってしまう。

  • 「この泥棒猫!いや、泥棒でんこ!」「でんこちゃんじゃないですよ!」
  • 「前からおかしいと思ってたのよ、カーペットには長い配線が落ちてたし」「ふつう髪の毛とかですよね?」
  • 「壁につけたビスマーク、それが動かぬ証拠じゃない!」「ビスの穴ですよね?キスマークみたいに言うなよ!」
  • 「下池さんにふさわしい電気屋がどっちなのか白黒はっきり、いや、プラズマテレビのようにくっきりはっきりさせましょ!」「そこは白黒で合ってると思うんですけどね?」
  • 「おたくはいつからなの?」「先週テレビを設置させてもらって…」「もうセッチ(「エッチ」みたいな発音で)してるの!?…一回セッチしたぐらいでお得意さんヅラしてるんじゃないわよ!」
  • 「はっきり言わせてもらう。西山電気とはエアコンを前提にお付き合いしている」「なにその結婚みたいな言い方」「夏にはエアコンを入れようと思っている」「完全に籍入れるみたいな言い方だ」「嘘でしょ?私ももう上司にコード頼んだのに」「『コード』が『仲人』にしか聞こえない!」
  • 「あんなにたくさんセッチしたじゃない!」「重いんだよ!これ以上うちの電圧はもう耐えられないんだ!」
  • 「捨てないで…!うちで引き取るから壊れても捨てないでよ…」「電化製品の話ね」

4.俺たちのグラウンド

ベンチから「右、右!なんべん言わすんだよ」と声を飛ばす監督。校長とも「今年は期待できる」という話をしている。舞台に登場してきた選手は目隠しして棒を持って歩いている。まるでサッカーかなにかのように指導していたが、スイカ割りの話だった。

  • 「なんだこの部活!?」「スイカ割りですけど」「知ってるよ、やったこともあるし」「校長、経験者なんすか?」
  • 「なんだよさっきのプレーは!全然まわりが見えてねーじゃねーか」「当たり前だろ目隠ししてんだから」
  • 「部活終わったらスイカは井戸水で冷やしとけっつったろ!罰として10周な」「西高〜、ファイ、オー、ファイ、オー(棒に頭を当ててその場で回転)」
  • 「大会でいい成績を残せば、西瓜(にしうり)ヴェルディからスカウトが来るかもしれないんです!」「それ『スイカ』って読むんだよ、『ニシウリ』ってちょっとヨミウリっぽく言ってるけど。ていうかそういうJリーグみたいなのあるんだ」「ええ、JリーグじゃなくてJAっていう」「それ農協だろ」
  • 「よーしじゃあタッチアンドゴーの練習」「ピッ………ピッ」「あっちのスイカでしょそれ」「ディフェンス来るからチャージしろ!」「チャージってやっぱあっちのスイカでしょそれ!」「あ、今のは反則だから試合だったらオレンジカード出るよ」「もう100パー電車だろ!」

5.隣人

アパートの隣の部屋から怒声が聞こえたので壁に耳をすませると、「さっさとブツもってこいよ!」の声。実はそばの出前なのだが、壁越しに聞くとまるで麻薬の取引にしか聞こえない。

  • 「やっぱり薬味・つゆはテメーんとこに頼むのが一番だな」「ヤク密輸!?」
  • 「誰にもつけられてないだろうな」「どうしよう、やばい取引だ」「出前の途中で(麺をつゆに)つけるやつがどこにいるんだ」
  • 「(食べるのが)終わったらどうすりゃいいんだ」「うちの若いモンにやらせるから玄関の外にでも置いておけ」「死体を!?」
  • 「ちょっと量が少ないんじゃないか?」「文句あんのかよ!じゃあ今ここでやってやんよ!」「そんなもん(麺を打つ棒)取り出しやがって!まさかここで本当に(そばを)打つ気か!」「撃つ!?」「ダーンダーンダーンダーン(テーブルで麺を打つ音)」

6.彼女の好きなもの

あるカップル。彼が彼女に連れられてきたコンサートに出てきたのは、まるで電車の車掌のようなアイドルだった。

  • 「誰!?」「アイドル車掌のオカッキーよ!」「だって、うちわに『Jr』って書いてあるから…」「ジュニアじゃないわよ、JRよ!」
  • 「みんな、のってるかーい?」「キャー!」「ご乗車ありがとうございます」
  • 「一階席〜」「キャー!」「二階席〜」「キャー!」「優先席〜」「(まばらな拍手)」「そりゃそうだろ!拍手乾いてるよ!」
  • 「今後、僕はオカッキー&翼としてやっていきます」「やっぱジュニアじゃないの?」「山形新幹線“つばさ”と一緒にやっていきます」
  • 「それでは聞いてください、『京都に行こう』」「JRのCMの曲?」「(カバンから取り出した吊り革をペンライトっぽく振る彼女)」
  • 「あ、客席に降りてきた」「切符を拝見いたしまーす」「握手してるんじゃないんだ」


それぞれ、結婚式場の営業と花嫁略奪、親の衝撃的告白と友達、電気屋と修羅場、部活とスイカ割り(と電車)、そば屋の出前と麻薬の取引、アイドルと電車、を無理に組み合わせることによってコントにしてるわけです。上のコントシチュエーション説明の全部に「まるで」を使いましたが、「もしも」でもいいかもしれません。「もしも車掌のようなアイドルがいたら」とか。実に7本中6本が、2人がこの「もしも」パターンコントをやって1人がツッコむパターン。しかも全部が作り込まれてたのは単純にすごいと思った。ことば遊び的なものも多いし、ものすごく僕好み。あー、ひさびさに他のコントも見てみたい人達を発見した。満足。